2014 Fiscal Year Annual Research Report
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23242005
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
森 雅秀 金沢大学, 人間科学系, 教授 (90230078)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 儀礼 / 仏教学 / 王権論 / 身体論 / 表象論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は儀礼を中心にアジアの仏教研究の再構築と体系化をおこなうことを目的とする。そのために、インド学、仏教学、宗教学、人類学 、歴史学、美術史、建築学等の研究者による学際的な共同研究を実施し、儀礼に関する組織的な資料収集、データ分析と公開、儀礼に関する理論構築、儀礼の歴史的展開と地域的変容の解明等を進めた。 今年度は、研究の第3ステージ「アジア仏教史の中で儀礼がどのように形成され、展開したか」、第4ステージ「仏教儀礼が他の宗教とどのような交渉を持ったか」に相当し、そのための全体集会を平成27年2月に開催して、これらの点について重点的に討論を行った。全体集会ではウパニシャッドの入門儀礼と仏教儀礼の授戒儀礼の関係、ガンダーラ美術に見られる儀礼的要素、日本の中世天皇儀礼と仏教儀礼との関係についての報告が行われた。これらをふまえて、アジアにおける仏教儀礼の成立と展開、とくに異宗教や異分野の儀礼との関連についてさまざまな視点からの検討が行われた。 今年度の大きな成果として、研究代表者が編纂した論文集『アジアの灌頂儀礼:その成立と伝播』の刊行があげられる。連携研究者による論考も多く含み、本研究の重要なテーマである仏教儀礼のアジア的展開や、儀礼と王権の関係などを解明した画期的な研究として高く評価された。 また、連携研究者による個別の研究としては、インド学(永ノ尾信悟)、中国仏教(山部能宜)、東南アジア研究(高島淳)、日本史(原田正俊)、日本文学(松本郁代)など、さまざまな分野で儀礼に関する研究成果を発表した。 さらに今年度は、研究の最終ステージである「研究全体の統合」の準備段階に相当する。次年度の研究のとりまとめに向けて、シンポジウムの開催と成果刊行についての方針が話し合われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は研究期間内に5つの研究ステージを設定し、各年度においてそれを段階的に進めてきた。これまでの研究期間では、当初の計画通り、第3ステージまでを完了し、第4ステージの中盤、そして第5ステージの端緒にまで至った。とくに、研究代表者が編纂し、連携研究者を中心とする日本の仏教儀礼研究者の主要なメンバーが執筆した『アジアの灌頂儀礼』を刊行したことで、研究のまとまった成果をいち早く公表することができた。連携研究者による研究成果の公表も頻繁に行われ、学界にインパクトを与えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の平成27年度は、研究の第4ステージの最終年度に相当し、その完了をふまえ、最終段階である第5ステージとして、研究全体のとりまとめのためのシンポジウムを開催する。研究の最終的な目的である、宗教儀礼を中心とした人文科学の学際的研究のモデルの提示の実現に向けて、着実に研究活動を進める。
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Research Products
(15 results)