2011 Fiscal Year Annual Research Report
文明移動としての「仏教」からみた東アジアの差異と共生の研究
Project/Area Number |
23242036
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
新川 登亀男 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (50094066)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 成市 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (30242374)
川尻 秋生 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70250173)
大橋 一章 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (80120905)
肥田 路美 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (00318718)
河野 貴美子 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (20386569)
|
Keywords | 日本史 / 中国史 / 朝鮮史 / 文献学 / 美術史 / 考古学 / 仏教学全般 / 思想史 |
Research Abstract |
本「研究の目的」は、文明移動としての「仏教」が東アジア世界にいかなるグローバリゼーションとインターナショナリゼーションとの協調や矛盾をもたらしたのかを三つの局面から調査研究するところにある。その三つの局面とは、「世俗秩序」「造形・言語文字表現」「諸宗教・習俗儀礼」であり、これらは「研究実施計画」に準じて以下のようにすすめられた。 第一は、2012年3月、百済地域(韓国公州・扶余・全州・益山)での仏教金石文・遺物・遺跡の共同調査を実施し、上記三つの局面から東アジアにおける「仏教」文明の共生と差異について検討した。第二は、「世俗秩序」の局面から日韓の文字資料(写経践文・金石文・木簡)を随時実見し(韓国国立中央博物館など)、中国石刻資料の調査(2012年3月、天竜山など)にも及んだ。「造形・言語文字表現」の局面からは、四川省夾江千仏岩摩崖造像研究の検討会を開き(2012年3月)、中国に渡った日本の「仏教」関連資料調査などもおこなった(2012年1月以降、中国国家科学院図書館など)。「諸宗教・習俗儀礼」の局面からは、日本の密教・陰陽道に影響を与えた中国の「日書」や道教の研究をすすめ(2011年以降)、台湾でのフィールド調査もおこなった。さらに、中国四川省におけるり「仏教」移動ルートの踏査を試みた(以上、2012年3月)。第三は、2011年12月、国際シンポジウム「『仏教』文明の東方移動-その受容と抵抗-」(フランス・中国・韓国・日本の各研究者報告、早稲田大学大隈小講堂)を開催し、本研究の課題を共有した。第四は、論集『「仏教」文明の受容と君主権の構築-東アジアのなかの日本-』(勉誠出版)の本年度末刊行をめざした。第五は、定例研究集会を継続した(本年度通算7回)。第六は、次年度に向けて、参考資料・文献の蒐集、器具の整備などをおこなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
追加採択のため、本年度の研究活動は限られた期間となったが、研究分担者全員の研究活動が集中的に展開されたことにより、当初の計画以上の進展をみた。たとえば、地道な定例研究集会の基盤化、中国石刻資料のあらたな確認、中国に渡った日本伝来資料の探索、百済寺院遺跡調査における最新出土資料とその知見の獲得、論文集の刊行準備、国際シンポジウムにおけるグローバルで重厚な問題提起などである。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的と、「世俗秩序」「造形・言語文字表現」「諸宗教・習俗儀礼」の三局面からの調査研究方法とに変更はないと考えている。とくに、定例の研究集会を貴重な場として堅持しながら、国内外の研究協力者を随時加え、中規模ないし大規模な研究集会をもちたい。そして、可能な範囲で、その成果を刊行物その他の方法で開示していくことに努める。また、RAなどの協力を得ながら、関連の資料のさらなる発掘と蒐集と整理をすすめ、そのための検討会も必要に応じて開催していきたい。さらに、三局面からの調査研究を随時確認し合うこと、本研究の主要課題解明にとって有効的な事象を抽出して全体的な考察に向かう道筋を模索することが問題点となる。
|
Research Products
(62 results)