2011 Fiscal Year Annual Research Report
ロシア・中国を中心とする在外日本関係史料の調査・分析と研究資源化の研究
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23242039
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
保谷 徹 東京大学, 史料編さん所, 教授 (60195518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎原 雅治 東京大学, 史料編さん所, 教授 (40160379)
小野 将 東京大学, 史料編さん所, 准教授 (70272507)
須田 牧子 東京大学, 史料編さん所, 助教 (60431798)
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Keywords | 日本史 / 史料 / 倭寇 / アイヌ交易 / 国際研究者交流:ロシア / 国際研究者交流:中国 / デジタルアーカイヴズ / 国際研究者交流:オーストリア |
Research Abstract |
1)ロシア連邦サンクトペテルブルグ市に出張し、ロシア国立歴史文書館・同海軍文書館などで継続中の日本関係史料の体系的な調査・収集を遂行した(9月)。今回はとくにロシア国立軍事史博物館が所蔵するフランキ砲2門(19世紀初頭の北方紛争によってロシアへ持ち去られたもの)について実測調査をおこない、その成果を発表した。2)ロシア国立歴史文書館を会場として、史料編纂所・歴史文書館・海軍文書館・日本総領事館共催による日露関係史料研究をめぐるラウンドテーブルを実施し、日露関係史の史料展示会を開催した(会期9月20日~10月20日、参観者1300名)。3)ロシア科学アカデミー東洋古籍文献研究所のワジム・クリモフ上級研究員を招聘し、同研究所が所蔵するサハリンアイヌ交易帳簿の解読・分析を進め、原本校正とロシア語翻訳作業の支援をおこなった。4)ロシア国立海軍文書館が所蔵するリハチョフ海軍提督の日誌の解読と翻訳に取り組み、公開研究会を開催して中間発表を行った。5)中国国家博物館へ出張し倭寇図像の調査を実施した。中国国家博物館の陳履生副館長らを招聘して倭寇図像をめぐる国際研究集会を開催した(10月)。倭寇とたたかう中国民衆を描いた絵図「太平抗倭図」の存在が新たに明らかになった。さらに、台湾清華大学の馬雅貞副教授を招聘して国際研究集会を開催し、歴史絵画としての戦功図の意義を明らかにした(12月)。6)史料編纂所・日本学士院共催による国際研究集会を開催し、ボン大学ペーター・パンツァー名誉教授にドイツとオーストリアの文書館における日独・日墺関係史料について報告をいただいた。ドイツ語圏における日本関係史料についての貴重な情報を得た。7)在外日本関係史料の試行デジタル化に着手するため、既収集のデータ整理に取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ロシア・中国等における史料保存機関との友好的な協力関係を築き、同地の研究者の協力のもとに体系的な史料収集と共同研究に取り組めている。今年度は、中国・台湾・ロシア・オーストリアから研究者を招聘し、共同研究を進捗させるとともに、計3回の国際研究集会を開催して研究の成果を発表することが出来た。とくに、ドイツ語圏における在外日本関係史料のさらなる調査とデジタルアーカイヴズ化のための情報収集や準備にあたることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで築いてきたロシア・中国における史料保存機関との協力関係を引き続き維持することが大事になっている。国内の各分野の専門家や専門機関との研究連携を取りながら、共同研究体制を構築していきたい。在外日本関係史料のデジタルアーカイヴズ化の途を探ることが本科研のひとつの目的であり、この点では研究代表者らが所属する東京大学史料編纂所の機材や資源を活用して進めていきたい。
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Research Products
(9 results)