2012 Fiscal Year Annual Research Report
ロシア・中国を中心とする在外日本関係史料の調査・分析と研究資源化の研究
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23242039
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
保谷 徹 東京大学, 史料編さん所, 教授 (60195518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎原 雅治 東京大学, 史料編さん所, 教授 (40160379)
須田 牧子 東京大学, 史料編さん所, 助教 (60431798)
小野 将 東京大学, 史料編さん所, 准教授 (70272507)
佐藤 雄介 東京大学, 史料編さん所, 助教 (20624307)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 日本史 / 史料 / 倭寇 / アイヌ交易 / 国際研究者交流:ロシア / 国際研究者交流:中国 / デジタルアーカイヴズ / 前近代史 |
Research Abstract |
1)日本学士院のUAI関連事業と連携して、ロシア国立歴史文書館長・同海軍文書館長らを招聘し、日露関係史料をめぐる国際研究集会を開催した(5月)。2)サンクトペテルブルグ市への出張調査を実施し、ロシア国立歴史文書館、同海軍文書館を中心に調査し、計画的な史料収集を実施した(9-10月)。今回はとくにロシア科学アカデミー人類学民族学博物館(クンストカーメラ)において、19世紀初頭の北方紛争で持ち去られた漆器類の調査をおこない、また、ロシア国立図書館でレザノフ日誌写本のデジタルデータを入手するなどの成果を得た。3)ロシア科学アカデミー東洋古籍文献研究所主催のネフスキー記念国際シンポに参加し、連携研究者谷本晃久准教授(北海道大学)がサハリンアイヌ交易帳簿に関して報告をおこなった。同研究所においてカラフトアイヌ帳簿の原本調査をおこない、先行研究で着手した翻刻と解読・解析作業をすすめた(同)。4)収集したロシア史料、とくに1861年対馬事件の立役者となったリハチョフ海軍提督の日誌の解読・翻訳をすすめた。5)中国国家博物館(北京市)に出張して同館所蔵『平番得勝図巻』の調査を実施した(11月)。その後浙江省台州市において、昨年取り上げた『太平抗倭図』の現地調査、同舟山市において、「倭寇図巻」「抗倭図巻」の主題と目される戦いの現地調査、最後に同嘉興市において、原倭寇図巻の主題と目される戦いの現地調査を行なった。6)在外史料デジタルアーカイヴズの構築研究では、すでに収集した中国・ロシア史料のスキャニング作業をすすめた。また、史料編纂所が所蔵する海外マイクロフィルム(130万コマ)のうち、別途経費によって実施された露米会社史料、英国外務省文書の本省文書(FO46)・在日公使館文書(FO262)などのスキャニングデータへの目録データ付与をおこなう方策を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ロシア・中国等における史料保存機関との友好的な協力関係を築き、同地の研究者の協力のもとに体系的な史料収集と共同研究に取り組んでいる。今年度は、日本学士院のUAI事業などと連携してロシアから文書館長らを招聘して国際研究集会を開催したほか、ロシアでの史料調査に取り組み、また倭寇が登場した中国現地を中国側機関と共同調査を行うなど、一通りの活動を遂行することが出来た。ただし中国から招へいして予定した国際研究集会は諸般の事情で次年度早々におこなうものとした。在外日本関係史料のデジタルアーカイヴズ化の面では、マイクロフィルムのデジタル化作業(スキャニングのみ)は研究所の経費で若干の進展をみせ、本研究でもその本格的実施のための準備にあたることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで築いてきたロシア・中国における史料保存機関との協力関係を引き続き維持することがまず大事になっている。国内の各分野の専門家や専門機関との研究連携を取りながら、共同研究体制を引き続き維持していきたい。最終的に、在外日本関係史料のデジタルアーカイヴズ化の途を探ることが本科研のひとつの目的であり、この点でも研究代表者らが所属する東京大学史料編纂所の機材や資源(データサーバや閲覧検索システムなど)を活用して進めていきたい。ただし、ロシア・中国で収集した史料だけでなく、世界20数か国70近い史料保存機関から戦後マイクロフィルムの形で集積した130万コマ近いデータがある。これらをデジタルアーカイヴズ化(研究資源化)して運用するためには、フィルムのスキャニング作業・経費ばかりでなく、そこに付与するメタデータ(目録情報)の工夫と、そのための作業経費を確保することが必要であることが次第に明らかになってきた。多言語にわたる史料だけに、それを読み込んで検索に必要なメタデータを作成・付与するためには、本科研経費では全く不十分であり、もう少し大きな枠組みで考え直さなければならないようである。この点は今後の具体的課題としておきたい。
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Research Products
(12 results)