2011 Fiscal Year Annual Research Report
「書物・出版と社会変容」研究の深化と一般化のために
Project/Area Number |
23242040
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
若尾 政希 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (80210855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 冬彦 京都橘大学, 文学部, 教授 (70166883)
鈴木 俊幸 中央大学, 文学部, 教授 (00216417)
山本 英二 信州大学, 人文学部, 教授 (20262678)
高橋 章則 東北大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (10187990)
杉本 史子 東京大学, 史料編纂所, 教授 (10187669)
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Keywords | 日本史 / 文化史 / 思想史 / 総合史 / 出版文化 |
Research Abstract |
1.日本の出版文化を、A書物・出版と環境、B本屋・出版、C写本と刊本、D流通、E享受者・読者、F作者・思想家の6つ研究視角から捉えることの是非について、議論した。 2.2011年度のフィールドワークは、長野県松本市、宮崎県、宮城県、岩手県等で実施し、資料の収集・掘り起こしを行った。宮城県・岩手県では、被災史料の状況について現地の研究者と一緒に聞き取りをするとともに、宮城史料ネットでの史料保全活動(水損史料のクリーニング作業)に協力をした。 3.「書物・出版と社会変容」研究会を9回開催して、研究交流を行った。10月1日の例会は、長野県松本市のあがたの森文化会館を会場に、松本藩藩校崇教館教授を務めた多湖家の蔵書をテーマに、山本英二、鈴木俊幸、高橋明彦、白井純の諸氏が報告を行った。また1月には、通常の1月例会とは別に、1月28日に大阪で「書物・出版と社会変容」研究会(大阪大会、大塩事件研究会との共催)を開催した。報告は、鍛治宏介氏「近江八景詩歌の伝播と受容」、松本望氏「大坂代官竹垣直道の読書」、山中浩之氏「幕末期一地方商人の書物と書画をめぐる交流-泉南湊浦里井浮丘を中心に-」であった。なお、2011年度は合計21名が研究報告を行い、近世~近代の出版文化について熱心に議論した。 4.一年の研究成果を取りまとめた雑誌『書物・出版と社会変容』第11号、第12号を印刷し、全国の教育・研究機関、史料保存機関に配布した。第11号には、鈴木俊幸「葉書という社会資本、あるいは書籍流通史料としての葉書」他7本の論考を収載し、第12号には、引野亨輔「「読書」と「異端」の江戸時代-真宗教団を事例として」他7本の論考を収載した。 5.近年の書物・出版研究の動向を整理し、その成果を集大成するために、講座物を編集することになり、その内容について議論を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究会も当初の計画以上に開催できている。これは「書物・出版と社会変容」研究会への関心が高まっていることを示している。その成果を収載した雑誌『書物・出版と社会変容』も力作が寄せられ、歴史学界(たとえば『史学雑誌』の「回顧と展望」に載せられる等)での評価も高まってきている。全国各地の大学で、書物や出版をテーマにした卒業論文を書く学生も出てきている。書物・出版をテーマとした講座物を出版すべく編集会議を立ち上げたが、おそらく2012年度中には、その骨組みを提示できるところまで、進展してきている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究会の開催、雑誌の編集と発刊は従来通り続けていきたい。2012年度は北海道と群馬県で開催を予定しているが、各地の研究会・研究者と連携しながら、「書物・出版と社会変容」研究会の地方大会を開催し、一般市民をも巻き込みながら、研究を進めていきたい。研究計画の変更等は現在予定していない。
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Research Products
(33 results)