2012 Fiscal Year Annual Research Report
司法サービスの新たなパラダイムとその展開-質を重視した司法過疎対策の研究
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23243002
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
米田 健一 鹿児島大学, 司法政策研究科, 教授 (20283856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 宏 鹿児島大学, その他の研究科, 教授 (00318685)
橋本 眞 熊本大学, その他の研究科, 教授 (20218423)
小佐井 良太 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (20432841)
草鹿 晋一 京都産業大学, 法務研究科, 教授 (30327118)
猿渡 健司 熊本大学, その他の研究科, 教授 (30515474)
高平 奇恵 九州大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 助教 (30543160)
高良 鉄美 琉球大学, 法務研究科, 教授 (40175435)
飯 考行 弘前大学, 人文学部, 准教授 (40367016)
采女 博文 鹿児島大学, その他の研究科, 教授 (50160304)
武田 昌則 琉球大学, 法務研究科, 教授 (60404547)
大野 友也 鹿児島大学, 法文学部, 准教授 (70468065)
紺屋 博昭 鹿児島大学, その他の研究科, 教授 (30344584)
赤松 秀岳 九州大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40184098)
渡名喜 庸安 琉球大学, 法務研究科, 教授 (50125788)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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Keywords | 司法過疎 / 弁護士 / 法サービス / 司法制度 / リーガルアクセス / 弁護士需要 / 裁判所 / 隣接士業 |
Research Abstract |
平成24年度は、平成23年度の研究成果を踏まえ、4月、7月、11月、3月に開催された研究打合せを中心としつつ、それぞれ個別に研究分担者同士での打合せにより進捗状況を報告、確認をしながら、本研究が明らかにする目標である「司法サービスの新たなパラダイムと展開イメージ」についての議論を深めた。 その中間的成果の評価を受けるために、臨床法学教育学会(2013年4月21日、立命館大学)における2つのセッションの取組(「法科大学院教育の地域貢献と臨床法学教育」と「臨床法学教育研究の「より臨床的な」展開を目指して」)のほか、鹿児島大学法学論集での特集による法律相談の質的分析の研究を推進した。 さらに、鹿児島大学法科大学院の法律相談実習の実施地である鹿児島県の徳之島(徳之島町、天城町、伊仙町)をフィールドとした調査研究に継続的に取り組んでおり、政治的事情の影響、法サービス機関の撤退の影響、島外弁護士の活動の影響などの事情を把握することができた。この点、地方の法科大学院のクリニックの取組の聴取りを行い、現地の法サービスの状況やその事情の教育内容への還元についての知見を深めた。また、東日本大震災被災地の司法サービスの事情の調査も継続的に取り組んでいる。 こうした活動を通じて、司法制度や法曹の活動と市民生活の接点の「質」に注目し、また、司法の枠だけではなく、行政や他の士業などとのつながりの中で、人々の生活をトータルに見ながら、法サービスのできる限りを実施する視点でアプローチすることが必要であるとの認識に基づき、司法サービスの量的視点の限界を踏まえ、具体的に各地域の事情等に応じて必要とされる司法サービスの質的側面に注目することで、司法過疎対策の充実と実効性を上げるための課題やあり方の検討・構想に取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究計画として、平成23年度までの成果を踏まえて、(1)司法政策レベルの量的対策の現状と限界の把握、(2)質的側面の諸課題の把握①:赴任経験弁護士への聞き取り、報告書等の文献調査を推進、(3)質的側面の諸課題の把握②:司法過疎地における自治体等支援組織を含む法サービスの実態調査と、(4)質的側面の諸課題の把握③:法サービスの利用者や支援者等への聞き取り調査の推進を課題とし、平成24年度末までには、これらの取組みを基盤とし、それぞれの成果の情報交換や研究成果としての公開を進めるとしていた。 上記のうち、(2)(3)の取組がやや手薄であったものの、おおむね実施することができたのでこの評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、当プロジェクトの最終年度としての取りまとめ作業を行う。まず、平成24年度までの成果を踏まえて、下記の(1)から(4)までの作業を通じて固有の研究成果を確保するとともに、研究成果により一般性を持たせるための取組を行う。そこでは、司法過疎対策への量的アプローチの限界だけではなく、現地の弁護士の活動を制約する諸制度の事情、及び、より具体的にその地域事情等に応じて必要とされる司法サービスの質的側面に改めて注目し、司法過疎対策の充実と実効性を上げるための課題やあり方を明らかにする。 【研究組織と活動】 ■A班:これまでの、法テラス、ひまわり基金の活動ほか、司法制度下で行われている司法過疎対策や法律相談実績の資料収集・現地調査を踏まえ、とりまとめを行う。 ■B班:司法制度外(自治体法律相談・法科大学院による法律相談などを含む)の法サービス利用の現場において「質」の充実のために行われている取り組みや成果を析出するための文献の渉猟と現地調査を踏まえ、とりまとめを行う。 ■全体としての取り組み:A班、B班の取り組みを総合し、現在制度全体を前提とした量的アプローチの限界を明らかにし、質的に充実した法サービスを受けるための制度的問題から、現場でのプラクティスの課題を明らかにする。平成25年度は、A班(政策策定・実施過程班)、B班(現場活動・支援過程班)にわけたそれぞれの班の取組みを基盤とし、研究成果の公開を推進する
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