2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23243009
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
坂元 茂樹 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (20117576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 正博 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (70168102)
柴田 明穂 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (00273954)
玉田 大 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (60362563)
小寺 彰 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (80107490)
浅田 正彦 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90192939)
酒井 啓亘 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (80252807)
黒神 直純 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (80294396)
小林 友彦 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (20378508)
前田 直子 京都女子大学, 法学部, 講師 (80353514)
川岸 伸 神戸大学, 国際協力研究科, 助教 (30612379)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際法 / 国際裁判 / 国際司法裁判所 / 国際海洋法裁判所 / 訴訟化 |
Research Abstract |
本研究は、「国際法の訴訟化」現象を実証的・理論的に分析し、実践上の訴訟実務や日本における訴訟政策をリードすることを目的としている。当該研究目的を実現するために、H24年度の研究では、前年度に引き続き、研究代表者及び分担者が各専門分野における「訴訟化」現象を研究すると共に、メンバー以外の専門家との意見交換、情報交換を積極的に行い、本研究の理論的・実践的妥当性を不断に反省する機会を得た。 具体的には、第1に、仏グルノーブル大学よりKarine Bannelier准教授を招聘し、武力紛争時における環境保護をめぐる訴訟可能性につき報告を得て、メンバーと議論を行った。第2に、外務省・前国際法課長の岡野正敬氏を招聘して「外交実務における国際法:守る国際法から使う国際法へ」と題する講演会を行った。日本が関与した国際裁判(ITLOSにおけるミナミマグロ事件等)に直接関与された経験より、国際法の「訴訟化」に関する「実務的対応」につき貴重な示唆を得た。 上記の研究結果をも踏まえ、H24年度全体研究会を1回開催し、研究分担者である酒井啓亘氏より「国際司法裁判所における『適切な裁判運営』概念―付随手続での事例を手がかりとして―」と題する報告を得ると共に、「訴訟化」概念について参加者全員での議論を行った。これら研究をサポートする学術研究員を引き続き雇用し、また本件理論的研究に必要な国際法関連図書や国際法データベースを購入し、研究プロジェクト参加者全員が活用できるよう工夫した。これら研究成果を広く公開するために、ホームページを開設し、適宜必要な情報を公開し始めた(http://www.research.kobe-u.ac.jp/law-juridic/index.html)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1に、国際裁判の「訴訟化」の基礎概念を巡る議論が僅かに収束し、議論全体の土台が完成しつつある。そもそも「訴訟化」については国際法の各分野でも認識が大きく異なっており、「訴訟」概念自体が馴染まない分野も多いことから、この点を重点的に議論できたことは今後の研究にとって有益であると考えられる。 第2に、ICJの最新判例動向に関する知識と関心を共有することができた。2012年度には、酒井啓亘・研究分担者の報告を通じて、国際司法裁判所・訴訟手続における「適正手続」に関する判例動向を知ることができた。ここから、最近のICJ判例の動向や共通利益概念と実体法発展の関連性、手続法の形成過程や基礎概念に関する幅広い議論が可能となった。 第3に、各種セミナーを通じて、実際の国際裁判の利用可能性や利用の際の注意点について多くの示唆を得ることができた。特に日本の国際訴訟戦略を練り上げる際に貴重となる具体的知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
第1に、2013年度は、本研究の大きな課題である「訴訟化に対する実践的対応」に関する研究課題がある。具体的には、日本が国際司法裁判所に提訴されている南極捕鯨事件の口頭弁論手続が予定されており(オランダ・ハーグ:6月~7月)、今年から来年にかけて判決(管轄権判決および本案判決)が言い渡されることが予定されている。本研究では、この事件の推移を詳細にフォローし、国際法の「訴訟化」という視点から分析する予定である。研究代表者または研究分担者が実際に法廷傍聴を行い、国際裁判が如何なる環境において運営されているのかを分析した上で、今後の日本の訴訟戦術を構築するための方策を探る予定である。 第2に、昨年に引き続き、我々の研究の理論的・実践的妥当性を検証するために、メンバー以外の内外の専門家を招聘し、最先端の国際訴訟分析について意見交換・情報交換する予定である。招聘予定者は、Jill Barrett氏(英国国際法比較法研究所上級研究員)、Phiippe Gautier氏(国際海洋法裁判所書記長)、Peter Laurence氏(豪タスマニア大学准教授)及び外務省国際法課の職員である。 第3に、全体研究会を開催し、国際法の各分野における「訴訟化」現象の知見を共有する。特に今年度は、研究分担者の国際法各分野における「訴訟化」現象に関する報告を逐次織り交ぜ、ICJ南極捕鯨事件の分析をも交えて、全体議論の裾野を広げていく予定である。 第4に、上記研究のサポート体制として、引き続き、学術研究員を雇用し関連文献を収集することにより、神戸大学を中心とした国際訴訟の研究拠点を拡充する。
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Research Products
(11 results)