2012 Fiscal Year Annual Research Report
中間組織の形成過程と経済的機能;アジアとアフリカに関する歴史的・理論的研究
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23243033
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
寺西 重郎 日本大学, 商学部, 研究員 (70017664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 慎一 東京大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (00221531)
曽根 康雄 日本大学, 経済学部, 教授 (00459851)
飯野 文 日本大学, 商学部, 准教授 (00521288)
正木 響 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (30315527)
村瀬 英彰 名古屋市立大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (40239520)
外谷 英樹 名古屋市立大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (40285226)
松原 聖 日本大学, 商学部, 准教授 (40336699)
浅見 靖仁 一橋大学, 社会(科)学研究科, 教授 (60251500)
浅田 義久 日本大学, 経済学部, 教授 (70299874)
安藤 至大 日本大学, 総合科学研究科, 准教授 (80377126)
三重野 文晴 京都大学, 東南アジア研究所, 准教授 (40272786)
高橋 基樹 神戸大学, その他の研究科, 教授 (30273808)
井上 葉子 日本大学, 商学部, 講師 (00339673)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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Keywords | 中間組織 / 適応的制度変化 / 内生的制度変化 / 信頼と市場の機能 / 経済のグローバル化 / 経済発展の開始 |
Research Abstract |
歴史研究グループは各対象国の経済の近代化と現状を分析し、法制の未整備・契約の不完備性等に関わる市場非効率性に中間組織が果たした役割、所得分配上の対立から形成された中間組織の形態を検討した。各国の経験から分かった事は、その国の特質を反映した中間組織の多様性とその経済社会の発展過程における適応・変容の激しさ・巧みさである。アジアについては中国の自治的組織である居民委員会の機能、香港の財界の政治過程への働きかけを仲介する諮問委員会、ラオスにおける貯蓄信用組合、タイとフィリピンの業界団体など急速な社会経済の変化に中間組織が巧みに対応して、政府や市場への影響力を維持してきたことが明らかにされた。同じことはアフリカについても言え、経済発展下のケニヤでのエスニック・グル―プの土地争奪における役割、セネガルの宗教団体の商業化に伴う互助組織としての機能など極めてダイナミックな中間組織の適応過程が明らかにされつつある。日本の戦前期における支配的中間組織は地域共同体であったが、戦後には業界団体システムにとって代わられた。ただ日本の場合業界団体の機能が弱体化する中でそれに代わるものをアイデンティファイすることが難しくなっており、NPOの機能など一層の実証研究が必要とされる。 経済発展と社会システムの変化・グローバル化に対応した中間組織の適応のダイナミックスは従来注目されなかった論点であり、内生的な制度変化の役割に関して新しい問題を提起する。加えて本年度の研究では、市場における規模の経済と孤立した個人の間の信頼関係の希薄化の間のバランスをとるものとして中間組織をとらえるという新しい理論的視点が導入された。こうした中間組織の機能に関する理論的枠組みを実証的な中間組織のダイナミックな適応過程をどう結び付けていくかが今後の課題であり、こうした問題を提起したこと自体が本研究の大きな成果となる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は経済学の視点より行う中間組織に関するパイオニア的な研究であり、その役割は基本的なファクト・ファインディングの積み上げと理論的・国際比較的な整理による研究の手がかりの発見にある。この意味で中間組織のダイナミックな適応的変化という視点の発掘は、重要性を持っており、我々の研究が順調に進展しつつあることを示すものである。
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Strategy for Future Research Activity |
ダグラス・ノース流に考えると、制度は国家が構築する制度インフラでありその整備が経済発展開始の前提となるのであるが、最近では経済制度そのものが経済発展に対して適応的・内生的に変化するものでないかという見解が強まりつつある。中間組織のダイナミックな適応的変化という我々が見出しつつある新しい視点を実証的・理論的・国際比較的に深化させることはこの意味で重要な貢献となる可能性がある。残る1年間で、適応のメカニズムの解明、その類型化、経済発展開始のインパクトとの関係などに関しての議論を深めることで、この仮説をより強固なものとしたい。
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Research Products
(9 results)