2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23243036
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 秀夫 京都大学, 経済学研究科, 教授 (40148599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 恵一 京都学園大学, 経済学部, 教授 (20148365)
米田 昇平 下関市立大学, 経済学部, 教授 (20182850)
奥田 敬 甲南大学, 経済学部, 教授 (40194493)
後藤 浩子 法政大学, 経済学部, 教授 (40328901)
中澤 信彦 関西大学, 経済学部, 教授 (40309208)
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Keywords | 啓蒙 / 野蛮 / 経済学 / スコットランド啓蒙 / 18世紀 / フランス啓蒙 / 寛容 / 狂信 |
Research Abstract |
この「野蛮と啓蒙-経済思想史からの接近」と題する研究は、18世紀のヨーロッパと英米における経済学が啓蒙思想の内部でその不可欠な一部として形成されたというこれまでのプロジェクトの研究成果を踏まえて、さらに市民的公共圏や大学などで形成展開された経済論議・経済学が「野蛮」とどのように取り組み、「啓蒙」をいかに実現して行ったかを究明しようとするものである。その前提として様々な形の「野蛮」と「啓蒙」を把握・分析することも必要であるが、「啓蒙」についてはこれまでの共同研究でかなり時間をかけて検討してきた。その成果を踏まえて、「野蛮」が「啓蒙」によって実際にいかに克服されたか、その際に、経済学という新しい学問の形成が「野蛮」の克服にいかに寄与したか、あるいは新しい「野蛮」を生まなかったかを究明する。このような意図での申請を行い11月に採用された研究であるが、分担研究者に研究の加速化を依頼し、分担金を配分し、23年度の研究を進めてもらった。研究会はそれまでに一度行っていたが、改めて1月28日に行い、各人の分担を明確化した。また若手の研究報告を行った。その後、3月19日と21日にグラスゴウ大学のベリー教授を京都大学経済学研究科に招聘して第3回と第4回の研究会を行った。さらにベリー教授には分担研究者の所属大学等(関西大学、関西学院大学、法政大学、慶應義塾大学)で4回のセミナーを開いて、個別に研究指導を受けることができた。また教授には研究協力者の指導をお願いすることができた。スコットランド啓蒙の専門家としての教授の研究報告、研究指導は有益であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
採択自体は11月となり、遅かったが、それまでに研究会を行っており、この主題の重要性をメンバーが認識していたので、1月の研究会は充実したものとなった。また研究費を使ってのグラスゴウ大学ベリー教授の招聘による研究交流は回数も内容も充実したものとなった。教授クラスの研究者と緊密に交流をもつことは容易ではないが、これまでの交流実績に照らして、教授はわれわれに対して実に協力的であって、研究の進捗に大きな貢献をしてくれた。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は2年目を迎える。5月19日に24年度最初の研究会を予定しているが、今年度はやや多く研究会を開催し、全員が研究報告を行うことにしている。さらに新しいメンバーとして大津真作(甲南大学文学部教授)と村井明彦(同志社大学商学部助教)を加えたことによって、組織が補強された。年度末までに外国人研究者の招聘、分担研究者の海外調査、そして研究の深化などを行う。また必要な文献資料の収集と研究情報の獲得を本格的に行い、重要なものの蒐集は完了する。思想史研究は資料をいかに読むかが勝負である。できるだけ時間を確保して研究交流を密にしながら研究の遂行に努める。25年度には研究成果を書物にして刊行したいと考えているので、24年度の研究の深化が勝負となる。
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