2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23243036
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 秀夫 京都大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (40148599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 恵一 京都学園大学, 経済学部, 教授 (20148365)
米田 昇平 下関市立大学, 経済学部, 教授 (20182850)
伊藤 誠一郎 大月短期大学, その他部局等, 教授 (20255582)
川名 雄一郎 京都大学, 白眉センター, 助教 (20595920)
生越 利昭 兵庫県立大学, 経済学部, 教授 (30094527)
喜多見 洋 大阪産業大学, 経済学部, 教授 (30211197)
古家 弘幸 徳島文理大学, 総合政策学部, 講師 (30412406)
奥田 敬 甲南大学, 経済学部, 教授 (40194493)
中澤 信彦 関西大学, 経済学部, 教授 (40309208)
後藤 浩子 法政大学, 経済学部, 教授 (40328901)
太子堂 正称 東洋大学, 経済学部, 准教授 (40511332)
関 源太郎 九州大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (60117140)
原田 哲史 関西学院大学, 経済学部, 教授 (70208677)
大塚 雄太 名古屋大学, 高等研究院, 助教 (70547439)
松森 奈津子 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (80337873)
大津 真作 甲南大学, 文学部, 教授 (20097752)
村井 明彦 同志社大学, 商学部, 助教 (90609554)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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Keywords | 野蛮 / 啓蒙 / 経済学 / 文明 / 未開 / 支配 / 植民地 / 社交性 |
Research Abstract |
今年度には研究主題に関わる研究報告会を6回行った。5月19日(報告:渡辺他)、7月14日(報告:喜多見、松森他)、10月20日(報告:古屋、後藤、米田)、12月22日(報告:大塚、中澤)、1月26日(報告:伊藤他)である。主として18世紀のヨーロッパ各地域における経済思想史の展開の中で、「野蛮と啓蒙」の主題がどう受け止められ、経済学が野蛮を克服し啓蒙を推進する学問として、どの程度、自覚的に構築されたかについての検討を深めた。研究分担者以外に、若手研究者の意欲的な報告やベテランの蘊蓄を極めた報告もあった。例えば、エディンバラ大学で博士学位論文の執筆中の佐藤空のバーク論、東京医科歯科大学名誉教授佐々木武の啓蒙概念分析、ヨルダンチョ・セクロフスキ(パリ大学Phd)のフーコー、ベンサム、ローティの監視と野蛮の研究報告などがそうである。 本研究の目的は、18世紀を中心とする啓蒙の時代に「野蛮」の克服がどのように論じられたのか、「野蛮」はどのようなものと見られていたのか、啓蒙の課題として野蛮はどの程度中心的であったのか、未開と野蛮は区別されたのか、また経済学は野蛮と啓蒙をいかに分析し、文明の可能性をどのように展望していたのか、等の解明である。野蛮には内なる野蛮(文明社会内部の野蛮、個人の情念の野蛮)と外部の野蛮があった。啓蒙の可能性と限界、経済学の役割と限界という問題も明らかにしなければならない。主たる対象は啓蒙時代の経済思想家、社会思想家の著作であるが、歴史的背景を分析するなかで、文脈主義的に各思想家の当該主題に対する取り組みを解明する研究を進めた。 分担研究者のうち後藤、中澤、伊藤、大塚などは予定通り、海外で調査と研究報告を行い、生越、松森、古屋、原田、奥田、大津、川名、村井、喜多見は分担研究を掘り下げ、田中は代表者として研究組織の活性化と連携、総括の仕事を推進した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は2年目であるが6回の研究例会を行い、15本ほどの論文報告を聞いた。分担研究者に配分した研究経費は全額有効に使用された。海外への調査と成果報告を数名が行ったし、学会の個人研究報告は言うまでもないが、セッションやシンポジウムでも研究主題に関して多くの分担研究者と研究代表者が成果報告をした。また研究組織を構成するメンバーが多くの論文等を刊行した。以上は当初の計画以上と評価できるが、可能ならという条件付きではあったが、予定していた外国人研究者の招聘ができなかったので、この点はマイナスである。研究代表者も分担研究者も次年度に成果報告書を出すための論文を鋭意執筆開始している。すでに完成にちかい分担研究者もいるが、全体としては成果の取りまとめはこれからである。したがって、研究の達成度は全体としてはほぼ順調と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(25年度)に3年目、最終年度を迎える。これまでと同じように、年間に5、6回の研究会を行い、共同研究としての質を高めるために、十分な討論を行い、いよいよ最終年度としての成果の取りまとめに入る。 田中が研究代表者として実施してきたこれまでの基盤研究では必ず研究報告書を冊子体で作成してきた。また書物にしたものも2冊ある。『共和主義の思想空間』(名古屋大学出版会)と『啓蒙のエピステーメーと経済学の生誕』(京都大学学術出版会)である。 前回の基盤研究はまだ書物として刊行していないが、今回の基盤研究は、申請時に、可能なら研究成果を書物にして刊行することを可能なら行いたいとしていた。したがって、年度末までに刊行できるように努めたいと思っている。 デフォーの研究者として研究書を刊行したばかりであり、「野蛮と啓蒙」の主題に関して大いに貢献が期待できる林直樹講師(尾道市立大学情報学部)を今年度の研究分担者として加えることにした。これによって研究組織はいっそう充実したものとなった。
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Research Products
(28 results)