2011 Fiscal Year Annual Research Report
地域経済の競争力回復のための地域経済政策の総合的研究
Project/Area Number |
23243048
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
家森 信善 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (80220515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 裕 愛知大学, 経済学部, 教授 (50249330)
清水 克俊 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (80292746)
小川 光 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (10313967)
柳原 光芳 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (80298504)
打田 委千弘 愛知大学, 経済学部, 教授 (50305554)
園田 正 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (60329844)
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Keywords | 地域金融 / 地域経済 / 産学連携 / リレーションシップバンキング / 地方自治体 / 金融支援 / 活性化 / 中小企業 |
Research Abstract |
平成23年度の主たるプロジェクトとしては、平成24年度後半に予定している大規模金融機関行員向けアンケートのための予備調査として、「東海地域における中小企業の経営力強化のための金融機関と自治体等の取り組みに関する企業意識調査」を実施したことである。 本調査では、愛知県の製造業の「独立系」中小企業3000社を対象に実施したものであり、803社からの回答を得ることができた。質問票は、メンバーとのディスカッションを行いながら、研究代表者が作成したが、「I.貴社の概要について」、「II.貴社の銀行関係について」、「III.地方自治体の中小企業金融支援について」、「IV.産学連携について」、「V.信用保証や金融円滑化法について」の5つの項目についての質問を含んでいる。 今回の調査の大きな特徴は、地方自治体の中小企業金融支援策について詳しい質問を行っている点である。調査結果によると、地方自治体の制度融資を現在利用している企業は約30%に達している。また、制度融資のことを知らないとの回答は10%以下であり、中小企業にとって身近な融資制度となっていることが確認できた。また、制度融資を利用している企業では、「新たな設備を導入できた」、「業績回復につながった」といった前向きな回答が多かった。しかし、自治体の行っている経済振興策に対しては「満足」と「不満」の回答がほぼ2割ずつあり、評価が分かれている。 以上のように、単独の調査としても興味深い結果が得られており、次年度以降において、これらの調査結果を分析することにしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の主たるプロジェクトとして実施した「東海地域における中小企業の経営力強化のための金融機関と自治体等の取り組みに関する企業意識調査」によって、愛知県の製造業803社の貴重なデータを得ることができた。 この調査票を作るために、愛知県、東海財務局、愛知県信用保証協会、民間金融機関などとの意見交換も行ったおかげで、中小企業の活性化に対する様々な支援組織の相互的な関係を明らかにする基本的なデータを整備することができた。具体的には、「I.貴社の概要について」、「II.貴社の銀行関係について」、「III.地方自治体の中小企業金融支援について」、「IV.産学連携について」、「V.信用保証や金融円滑化法について」の5つの項目についての質問を含んでいる。その結果、たとえば、愛知県内の中小企業の産学連携に関しての詳細な調査という点でも、本調査は先駆的なものである。 以上のように、調査の準備、調査の結果については、予想以上の成果を上げたものと考えている。ただし、調査結果は内部資料としてはすでにとりまとめているものの、公表に関しては当初の予定通り、次年度以降の公表を予定しており、想定通りであるといえる。 したがって、全体として、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度においては、平成23年度プロジェクトで実施したアンケート調査「東海地域における中小企業の経営力強化のための金融機関と自治体等の取り組みに関する企業意識調査」を踏まえて、地域活性化の最前線で取り組んでいる金融機関の職員向けのアンケート調査を実施することを目指している。アンケート調査票の作成は、代表者が中心となりながら、メンバーや外部の関係者の意見をヒアリングしながら作成していく。 課題としては、金融機関関係者に対する非公式なヒアリングを行ってきたが、「守秘義務」を厳格に捉える職員が多く、アンケート調査票への回答は著しく低いか、本部の「検閲」を受ける形になるのではないかとの指摘を受けている。この点を、どのように克服して、金融機関職員の真の声を聞けるかが本プロジェクトの成否を分けることになる。そこで、対象金融機関の本部組織との十分な交渉が必要になり、この点では、金融当局や中立的なメディアなどの協力を得ることで克服可能だと考えている。 平成25年度は、最終年度となるので、調査結果を踏まえた分析を行い、学術研究はもちろんであるが、政策提言をふくんだような成果を発表することを予定している。
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Research Products
(3 results)