2013 Fiscal Year Annual Research Report
国際的なリスク・エクスポージャーと最適開示の制度設計に関する総合的研究
Project/Area Number |
23243060
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
與三野 禎倫 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (80346410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸田 雅雄 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (10030644)
古賀 智敏 同志社大学, 商学部, 教授 (70153509)
田中 建二 明治大学, 会計専門職研究科, 教授 (60096857)
五十嵐 則夫 横浜国立大学, 経営学部, 教授 (00456336)
菊谷 正人 法政大学, イノベーション・マネジメント研究科, 教授 (10132101)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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Keywords | グローバル投資 / コスト効率性 / システム設計 / リスク情報 / 国際財務報告基準 / 新興国投資 / 金融規制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、とくに現在、リスク情報の拡充開示という市場の要請がある経済環境の下、どのように財務報告の制度設計が指向されているか、さらに国際的に事業活動を展開する企業は市場環境の変容にどのように対応しているかについて、第一に(1)財務会計制度の設計、(2)監査・保証制度の設計、及び(3)課税制度設計という3つの側面から理論的・制度的な枠組みを総合的に検討した。第二に、これらの理論的・制度的な検討を基礎として実証研究を実践した。これらの結果は、次に代表される。 ・事業リスクと金融リスクの開示には、これらの詳細については開示指針に委ねる「原則主義」、リスクの詳細について開示規則を設定する「細則主義」、さらには企業が重要視するリスクを財務とともに統合的に報告する「統合報告」の形態がある。 ・企業の適切なコーポレート・ガバナンスの構築は、移転価格税制を含め、企業のリスク・エクスポージャーを削減する。したがって、事業リスクと金融リスクは、企業のリスク・マネジメント体制と関連して開示されることが望まれる。 ・リスク情報に関する投資者等の情報開示のニーズは大きく、またリスク情報は、現在、戦略や人権、社会・環境要因も含まれるように拡充化されている。したがって、我が国においても、「原則主義」、「細則主義」あるいは「統合報告」のいずれかの開示形態によるリスク・マネジメント体制とリスク情報の開示に関する拡充化が望まれる。 ・リスク情報が拡充化されるにともない、リスク情報の監査・保証の必要性が議論される。ここでは、ひとつには財務報告制度における非財務情報の保証業務としてリスク情報を保証することが考えられる。いまひとつには、リスクの発生可能性と影響の強度を基礎として、任意監査としての内部監査が考えられる。ここでは、認識したリスクに対して企業がどのように対処しているかを情報開示することが望まれる。
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