2011 Fiscal Year Annual Research Report
全国無作為抽出調査による『教育体験と社会階層の関連性』に関する実証的研究
Project/Area Number |
23243083
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 高康 東京大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (30291321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 徹 大阪大学, その他の研究科, 准教授 (90263194)
三輪 哲 東北大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (20401268)
渡邊 勉 関西学院大学, 社会学部, 教授 (30261564)
數土 直紀 学習院大学, 法学部, 教授 (60262680)
小林 大祐 仁愛大学, 人間学部, 准教授 (40374871)
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Keywords | 教育 / 社会階層 / 格差 / SSM / 全国調査 |
Research Abstract |
本研究の目的は、社会学において伝統的に蓄積されてきた社会階層の調査研究の視点と、教育社会学において長らく積み上げられてきた学校調査の研究の視点を融合し、SSM調査をはじめとする従来の社会階層調査では検討できなかった教育変数をふんだんに取り込んだ『教育版SSM調査』を実施することにより、これまで学校調査で部分的にしか確認されなかった教育体験の社会階層に対する効果や、社会階層が教育体験に及ぼす影響について、全国レベルのデータで検証することである。この課題を遂行するために、初年度である平成23年度には次のような作業計画を実施した。 ①学校情報の精緻化のためのデータ整理作業を進めた。そのうえで具体的な調査に載せるための質問案の原案も作成した。②これまでのSSM調査になかった「教育体験項目」を洗い出す作業を行い、研究会等によって議論を積み重ねた。③家庭環境項目の作成について検討を行った。具体的には、家族・家庭教育・しつけといった内容についての項目の検討を行った。④やはり、社会階層指標を厳選するための検討を行った。「教育体験」関連項目を調査票に入れるためには、従来のSSM調査において大きな比重を占めていた職歴関係・職業関係の項目を精選する必要がある。そこで研究会において議論を行い、精選作業を進めた。 以上のように、平成25年度の調査実施に向けて、平成23年度ではその基礎的準備作業を行うことができた。なお、共同研究者とのスケジュール調整の関係で、研究会開催等が平成24年度にずれ込んだために研究資金の一部を繰り越したが、それもほぼ予定通り進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の最大のポイントは平成25年度の全国調査実施にある。その準備作業期にあたる平成23年度に関して言えば、ほぼ予定通り研究を進めることができたといえる。研究上必要な物品類の調達、資料収集、研究会議の開催もおおむね計画通りである。唯一の問題は、共同研究者を選ぶにあたって当該テーマに精通している点を最重視することに変更したため、広範囲の研究者に依頼することになり、スケジュールの調整に難航し、また旅費が予定よりも少しかかっているということがあげられるが、これも研究遂行上はむしろ良い方向に作用しており、非常に有益な議論が行われつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度において最初の準備段階は無事終了したが、平成24年度は具体的な調査項目の検討が課題となる。昨今の調査環境においてはあまり分量の多い調査票は回答拒否にもつながり適切ではないので、極力内容を精選して調査票作成を行う必要がある。平成24年度はおおむねそうした作業となる。そうした検討を十分に行ったうえで、平成25年度の調査に臨みたいと考えている。そのためには、研究協力者の増員なども視野にいれながら研究活動を進めていきたい。
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