2012 Fiscal Year Annual Research Report
教育系大学の図工・美術科教員養成における創造性育成支援プログラムの開発
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23243087
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
小澤 基弘 埼玉大学, 教育学部, 教授 (40241913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 猛 東京大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (70281061)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 表現 / 省察 / 創造性育成 / ドローイング / 可視化 / 認知科学 / 学校教育 / 朝活動 |
Research Abstract |
大学における美術創作活動の教育支援モデルとして「ドローイング制作とその省察」を主題とした授業を前年度同様に展開しその記録、そして前年度には行わなかったアンケート調査を実施した。授業分析については、前年度同様に個々をピックアップし、対話と表現との関係性をに可視化(マップ作成)し、それに基づいて5名の分析を終えた。その成果は大学美術教育学会誌第45号において「教員養成学部の絵画教育における省察的実践に関する研究II」として投稿し掲載された(2013年3月刊)。次年度はこのアンケートを分析し本授業の創造性育成効果を検証していく予定である。また、創造性育成効果の検証の一助として、熟達者による学生のドローイング評価も行った。その結果の検証は次年度に行う予定である。 また、本支援プログラムの学校現場での臨床検証については、さいたま市立大久保小学校、および川口市立在家小学校における朝活動(スケッチタイム)において、スケッチ(ドローイング)をテーマにした活動の年間計画をプランニングし、24年度一年間の全児童の作画を記録した。この活動記録とその分析は、今年度から始められたものであり、今後本科研の研究期間を含む6年間の記録を取り、その活動の創造性育成に対する効果の検証を最終的に行う予定となっている。尚、この活動についても大学美術教育学会誌第45号に投稿し(「小学校の朝活動における描画(スケッチ)が創造性育成に及ぼす効果についての研究I」)掲載された。 最後にアイカメラによる創造性育成の効果検証であるが、この一年間はアイカメラの取り扱いと分析のためのソフトウエアの取り扱いの学習に費やし、未だデータはとれていない。次年度はいよいよデータ採取とその分析にも取り掛かる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
教員養成大学における芸術創作を通した創造性育成支援プログラムの施行については、すでに今年度で二年目を迎え、記録データ、可視化されたマップを通したその効果の質的分析の段階はすでに終えている。また次年度以降の効果分析に向けてのアンケート調査、熟達者による授業効果の客観的評価、そして次年度以降に実施予定のアイカメラの実験演習も終えている。この二年間の成果は大学美術教育学会の口頭発表および投稿論文において逐次発表もしている。以上の点から、本研究は「おおむね順調に進展している」との自己評価をした。
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Strategy for Future Research Activity |
上記自己点検にあるように、本研究の前半の成果は当初の計画通りに実現している。今年度は教員養成系大学のほかに美術を専修にしない大学(東京大学)においても同様のプログラムを施行する予定である。今後の研究は、大学における授業モデルの創造性育成効果の検証と、そのモデルの学校教育への還元およびそこでの成果検証と続くことになる。効果検証の観点として、①学生へのアンケート調査結果の分析②熟達者による学生の作品評価の分析③アイカメラを使用しプログラム施行前後の学生の視線動向の変化の測定の3観点で今後その検証を進めていく。また小中学校の学校現場における本プログラムの施行については、すでに二校の小学校において今年度より実施し、その記録データを獲得した。今後はこの記録を6年間にわたって採取していくことになる。また、埼玉大学附属小学校中学校におけるプログラム実践も次年度行う予定である。
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Research Products
(5 results)