2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23244015
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
石井 仁司 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (70102887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 光春 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30119656)
長井 英生 関西大学, 工学部, 教授 (70110848)
儀我 美一 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (70144110)
三上 敏夫 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70229657)
小池 茂昭 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90205295)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 関数方程式,米国,フランス,イタリア / 粘性解,米国,フランス,イタリア / 完全非線形偏微分方程式,米国,フランス,イタリア / 最適制御理論,米国,フランス,イタリア / 弱KAM理論,米国,フランス,イタリア / 曲面の発展方程式,米国,フランス,イタリア |
Research Abstract |
以下に,研究成果を列挙する.(1)アイコナール方程式に対する動的境界値問題に関して,時間無限大での解の漸近挙動を調べ,極限関数を特徴づけた.(2)ノイマン型境界条件を持つハミルトン・ヤコビ方程式の解の長時間挙動を中心に解説した偏微分方程式の研究者に向けた入門書を刊行した.最近の本課題の成果も含むもので,本研究分野の発展に寄与するものと期待する.(3)2次元クリスタライン曲率流方程式のグラフ型の解について,外力項が空間方向に非一様な場合に対しての粘性解理論を構築した.非局所的な変動に対して,非局所的な試験関数をうまく用い,存在定理,比較定理などを示した.(4)確率最適輸送問題の有限性を調べることを,双対定理により,2階のハミルトン・ヤコビ・ベルマン方程式の解の確率測度に関する可積分性を調べることに帰着させた.結果として,確率測度が密度関数を持つ場合には,その対数の可積分性に帰着されることがわかった.今後は,更に一般的な確率最適輸送問題を考えるためには,それに対応するハミルトン・ヤコビ・ベルマン方程式を一般化する必要がある.これができれば,2点確率境界値問題におけるブレイクスルーになる.(5)これまで市場の数理モデルの下で考察したダウンサイドリスク最小化問題の一般化として,確率積分で表される,制御項を含むセミマルチンゲール汎関数に関する大偏差確率の漸近挙動を考察し,双対型定理が成立することを示した.(6)また,ずれの係数に不確かさを容認した設定で同様の問題を定式化し,ロバストな大偏差確率の漸近挙動に関して,双対型定理を示した.(7)非局所項を持つアイザックス方程式の粘性解の一意性を,劣最適性および優最適性の公式を示すことで導いた.(8)非局所項のあるハミルトン・ヤコビ方程式の粘性解のヘルダー連続性評価を得ることで,対応する時間大域的挙動を研究した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究組織の連携の下で,弱KAM理論関連,最適化問題,幾何学的非線形問題,数理ファイナンスなどに関連した非線形偏微分方程式の基本的で応用上重要な問題に関して,本年度の計画を概ね達成したものと考えている.さらに,講義録の完成と出版により,弱KAM理論の境界値問題に対するこれまでの研究代表者,分担者,研究協力者による成果の公表を進めることが出来た.このことにより,さらに,この理論とハミルトン・ヤコビ方程式の粘性解理論の重要性が認識され,研究の活発化が期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
粘性解理論の深化に向けて,本研究組織の連携のもと,海外の研究者との共同研究を組織しながら,境界値問題,弱KAM理論,粘性解の正則性,最適問題への応用,漸近問題への応用,幾何学的非線形問題などの課題の研究を着実に進める.新しい研究の方向として,ネーットワーク上のハミルトン・ヤコビ方程式の研究に着手したい.
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Research Products
(32 results)