2012 Fiscal Year Annual Research Report
世界最高密度の極低エネルギー中性子貯蔵による次世代・超対称性理論研究の基盤構築
Project/Area Number |
23244047
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 了 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 准教授 (60272465)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北口 雅暁 名古屋大学, 現象解析研究センター, 准教授 (90397571)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 素粒子実験 / 量子ビーム / 宇宙物理 / 材料加工・処理 / 精密研磨 |
Research Abstract |
本研究では、 (1)極低エネルギー中性子(UCN)の輸送・貯蔵用の界面技術の確立 (2)加速器に同期する磁場を用いた中性子収束方式の確立を目的としている。 (1)に関しては、UCN輸送のための全反射ガイド管の候補であるDiamond-like Carbonの開発を行った。製膜過程の水素を重水素に置換することで中性子に対する光学ポテンシャル243neVを達成した。また界面での非鏡面反射が輸送、蓄積に与える影響を計算するために、DWBAを用いた非鏡面散乱モデルおよび相対論的磁場によるスピン歳差運動を計算できるシミュレーションコードを構築した。 (2)に関して、超冷中性子密度を保持して発生位置から実験領域へ輸送する「Rebuncher」という装置を開発している。平成24年度は平成23年に原理実証に成功したRebuncherの高度化を行った。Rebuncherは磁場中でUCNのスピンを反転させることでエネルギーを調整し、実験領域位置へ同時に到達させ空間的に集束させる装置である。Rebuncherによる運動エネルギー変化は印可される高周波磁場の周波数に比例する。実証実験時においては17.5MHzから28.5MHzであった帯域を、コンデンサーの改良により7MHzから30MHzと拡張したことで、より広いエネルギーのUCNを集束できるようにした。また、実証実験においては50%程度であったスピン反転率を向上させるため、アンプを増強し、実証実験時の3倍のRF磁場を生成することに成功した。これにより反転率は95%に向上する見込みである。 今後J-PARC/BL05のドップラーシフターからのUCNを用いて反射板の評価及びリバンチャーを用いた集束実験を行う計画である。高エネルギー加速器研究機構の協力のもと行った中性子光学系の改良により、ドップラーシフターからのUCN出力を77倍に増強することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
J-PARC/BL05のドップラーシフターの改良を行い、77倍の増強に成功した。ただし、想定されたビームタイムが取得できなかったためドップラーシフターの性能評価およびその後の蓄積用乱反射版の評価がやや遅れている。Rebuncherについては実用化に向けた改良を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の大きな変更はない。今後は特に中性子輸送及び蓄積に関連する、基板表面の研究を進める。各種基板やコーティングの中性子反射特性を系統的に評価し、最適なものを選定・製作する基準を確立する。改良したRebuncherによる中性子集束実験を行う。これら超冷中性子制御デバイスの詳細な数値モデルを開発し、将来の次世代実験の設計開発の基盤を構築する。
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Research Products
(21 results)