2011 Fiscal Year Annual Research Report
超短レーザーパルス列照射による高効率・高汎用核スピン偏極
Project/Area Number |
23244053
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中嶋 隆 京都大学, エネルギー理工学研究所, 准教授 (50281639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 由賀利 独立行政法人理化学研究所, その他部局等, 研究員 (50231593)
小林 徹 独立行政法人理化学研究所, その他部局等, 研究員 (70202067)
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Keywords | 核スピン / 偏極 / 光イオン化 |
Research Abstract |
実験研究については,核スピン偏極イオンを検出するための狭帯域波長可変ナノ秒レーザーの開発・整備に多くの時間を費やした。当初はシード光として出力100mWのシングルモードチタンサファイアレーザーを用い,そのシード光を2段の色素セルで増幅することによって狭帯域波長可変ナノ秒パルス光源とする予定であったが、どれだけ調整しても安定した出力が得られなかったため、シード光を出力10mWのダイオードレーザーに切り替えたところ、出力は非常に安定した。しかし,現時点の2段の色素増幅ではどれだけ最適化を試みても必要な出力が得られていない。光源開発と合わせて,核スピン偏極検出に必要な狭帯域波長可変ナノ秒レーザーを波長掃引するためのソフトウェアの準備も進めている。 理論研究については,円偏光超短パルス列によって原子を光ポンピングした場合,その光強度やスピン偏極度の初期値によって,パルス照射毎に偏極度がどのように変化するかを漸化式を用いて解析した。漸化式から得られた近似解は,時間依存密度行列式を数値的に解いた解とよく一致した。また,超微細相互作用が極めて弱い場合でも超短パルス列による光ポンピングによって効率的に核スピン偏極を誘起できるかを検討したところ,到達可能偏極度は超微細相互作用の強さにはさほど影響されないことが分かった。つまり,われわれが独自に考案し,本課題で実験実証を試みる超短パルス列を用いた偏極スキームは,非常に効率が良く,汎用性も高い手法であることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験研究はやや遅れているものの,理論研究は予定よりも順調に進展しているため,両者を総合するとおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
実験研究についてはまず,狭帯域波長可変ナノ秒パルス光源を完成させ,光イオン化によって生成する171Ybイオンの核スピン偏極を光学的に検出することを最優先課題とする。理論研究については,偏極させたい核種によっては必要となる真空紫外光を高効率で発生させる新スキームを考える。
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Research Products
(5 results)