2012 Fiscal Year Annual Research Report
超短レーザーパルス列照射による高効率・高汎用核スピン偏極
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23244053
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中嶋 隆 京都大学, エネルギー理工学研究所, 准教授 (50281639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 由賀利 独立行政法人理化学研究所, その他部局等, 研究員 (50231593)
小林 徹 独立行政法人理化学研究所, その他部局等, 研究員 (70202067)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 核スピン / 偏極 / 真空紫外光 / 差周波発生 |
Research Abstract |
実験研究については,昨年度に引き続き,核スピン偏極イオンを検出するための狭帯域波長可変ナノ秒レーザーの開発・整備を継続した。シード光としてこれまで用いてきた出力100mWのチタンサファイアレーザーから10mWのダイオードレーザーに切り替えたことにより安定性の問題は解決したが,出力不足という新たな問題が生じたため,シード光のパルス増幅に用いる色素セルを2段から4段に増やしてシステム開発および調整を進めた結果,最終的に十分な出力が得られた。 理論研究については,いくつかの核種を偏極させる場合には必要となる真空紫外光をいかに効率よく発生させるかが重要な問題であるという認識のもと,ライマンα光(122nm)を効率よく発生させる新スキームを検討した。ライマンαの発生にはKrガスがよく用いられが,我々もKrガスを非線形媒質とし,差周波発生によってライマンαを発生させるスキームを考えた。我々のスキームでは2光子共鳴によって基底状態と2光子励起状態の間にコヒーレンスを生成し,それを用いて差周波発生によってライマンα光を生成するが,その際,2光子励起パルスに先立って非共鳴のStarkパルスを導入する。この順序でパルスをKrガスに照射することにより,基底状態と2光子励起状態の間に大きなコヒーレンスが生成される。この手法だと,生成コヒーレンスは常温Krガスのドップラー幅の影響をあまり受けず,パルス照射終了後も比較的長い時間コヒーレンスが持続するため,差周波発生に用いるプローブパルスのタイミングはあまり重要ではないというのが従来法に対する優位性である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験研究については,狭帯域波長可変ナノ秒パルスレーザーの開発も色素セルによる4段パルス増幅を導入したことで光源開発のヤマを越え,Ybイオンの偏極度測定へと進むことができた。理論研究の方も,核種によっては光ポンピングに必要となる真空紫外光を効率よく発生することができるスキームを提案することができた。したがって、実験,理論ともおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,開発した狭帯域波長可変ナノ秒パルスレーザーを用いて質量数が171のYbイオンのみを選択励起し,そのレーザー誘起蛍光強度から核スピン偏極度を評価する。もし必要であれば,1段目に狭帯域波長可変ナノ秒パルスレーザーを用いて質量数が171のYb原子のみを選択励起および光イオン化し,生成したYbイオンの核スピン偏極度を測定する。
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Research Products
(12 results)