2012 Fiscal Year Annual Research Report
自然・制御震源統合探査による伊豆弧北西縁衝突-沈み込み漸移帯南端の地殻構造解明
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23244098
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
伊藤 谷生 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 教授 (50111448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津村 紀子 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00272302)
佐藤 剛 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 准教授 (00468406)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 富士川河口断層帯 / 糸魚川静岡構造線 / 地震探査 / 地下構造 / フィリピン海プレート / MDRS法 / スケルトン化 |
Research Abstract |
本研究の第2年度にあたる平成24年度は、第1年度予算で行われた富士川河口断層帯-糸魚川静岡構造線横断地震探査とその標準的データ処理結果を受け、次の3課題に取り組んだ。 第1に、標準的データ処理をベースに、より高度な最新の処理法であるMDRS法を適用し、さらにスケルトン化による卓越イベント抽出を実行することによって、深部までの地下構造高精度プロファイルを得る。第2に、地表地質調査を続行し、基礎データを取得する。第3に、上記2つを基に地下構造の暫定的な解析を試みる。その結果は次のようにまとめられる。 (1)富士川河口断層帯の基本構造は西約40°の逆断層であり、その活動度は東に向かって新しくなる。富士川河口断層帯の西に位置する野下断層も同断層帯と同じ構造を有するが、現在は活動していない。(2)富士川河口断層帯の東縁に位置する大宮断層は地表には到達しない伏在断層であり、従来、断層崖と呼ばれていた地形は撓曲によって形成されたと考えられる。同断層帯の東方にはさらにもう一つ伏在逆断層が存在する可能性がある。(3)糸魚川静岡構造線を挟んで田代峠・音下断層から十枚山構造線までの間ではP波速度は5㎞/sを越える層が浅部までせり上がっている。(4)震源分布から推定されるフィリピン海プレート上面の上盤側では卓越イベント分布が密であるのに対して、フィリピン海プレート内では疎となっており、粗密境界がプレート上面に対応しているように見受けられる。従って、この境界を活用して、フィリピン海プレート上面位置を深度5㎞まで追跡できる。(5)富士川河口断層帯は深度約4㎞までは確実に存在する。その位置とフィリピン海プレート上面とは深さ方向に測って約2~3㎞まで接近しており、密接な関係が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1年度(平成23年度)においては新東名高速開通前の低ノイズ状態下で富士川河口断層帯-糸魚川静岡構造線横断探査を成功裏に実施し、第2年度である本年度(平成24年度)においてはより高度な最新の処理法によってフィリピン海プレート上面を含む深部から地表近傍までのプロファイルを得ることができた。これは本研究の大きな柱の一つが達成されたことを意味する。このプロファイルを基に地下構造の暫定的な解析までは本年度中に到達したが、地表地質を合理的に説明できるより確度の高い解釈というもう一つの柱の達成には至っていない。後者の柱は当初から最終年度(平成25年度)の課題として設定されているので、研究は順調に進捗していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
第1に、地表地質調査、とりわけ主要な断層の破砕構造解析によって地下構造解釈に対しての地質学的制約を明らかにする。 第2に、調査地域ならびにその周辺には多数の地点における重力データが存在する。これらのデータから地下構造解釈に役立つ地下構造情報を導き出す。解釈上、必要であれば新たに追加データを取得する。 第3に、上記2つの結果をもとに第2年度に行った暫定解析結果を修正・補強し、より確度の高い地下構造を提示する。
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Research Products
(10 results)