2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23245027
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
芥川 智行 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (60271631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂井 賢一 千歳科学技術大学, 総合光科学部, 准教授 (50342788)
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Keywords | 分子性結晶 / 強誘電体 / 分子モーター / 超分子 / 分子機械 / ポリオキサメタレート / 結晶構造 |
Research Abstract |
分子性結晶中の分子回転運動を設計し、それに伴うマクロな新規物性を開拓する事を研究目的とする。分子回転と連動した強誘電性を示す(m-nuoroanilinium)(dibenzo[18]crown-6)[Ni(dmit)_2]結晶を出発点とし、カチオン性の分子回転ユニットおよびアニオン部位の設計から、強誘電体の発現に必要な分子配列様式に関する検討を試みた。これまでに用いてきた[Ni(dmit)_2]アニオンを、より小さなパイ電子平面を有する[Ni(mnt)_2]や直径~1nm程度の球状の分子形状を有する[PMo_<12>O_<40>]^<-4>ポリアニオンに変化させたときの超分子カチオン配列様式やカチオン-アニオンパッキングに関する評価を試みた。また、量子化学計算を用いたカチオン構造の運動ポテンシャルエネルギーの評価行うことで、強誘電性の設計に必要な分子配列様式を検討した。(m-nuoroanilinium)(dibenzo[18]crown-6)[Ni(mnt)_2]結晶では、カチオン構造の分子回転に必要な結晶格子の次元性と柔軟性に関する新たな知見を得た。また、(o-aminoanilinium^+)-(crown ethers)-[PMo_<12>O_<40>]結晶に関する検討では、o-aminoanilinlumカチオンの協奏的な運動モードの存在を、結晶構造・誘電率の温度変化・回転ポテンシャルエネルギー計算から結論づけた。また、極性配位子を有するCu(II)二核錯体配位高分子を設計し、その結晶構造・熱安定性・ガス吸着特性と誘電率に関する検討を試みた。極性配位子の設計によりガス吸着に必要な結晶空間が制御可能で有る事が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、東北大学への着任後、東日本大震災により研究設備・研究進捗状況に大きな影響が出た。地震による復旧作業などを進める中、当初の研究計画の7~8割方進めることができ、おおむね順調に研究が進展している。地震後1年を経過したが、未だに装置の不調などの地震による後遺症が見られるが、研究内容とその段取りをうまく調整することで、予定通り研究が進展すると予測でき十分な研究成果の達成が見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
東日本大震災の影響が大きかった23年度に対して、残りの研究期間では、当初の予定通り研究計画を実施することが可能である。特に、超分子カチオン型の有機強誘電体と誘電応答システムの実現に関しては、当初の予定以上の研究の進展が得られている。ガス吸着特性を有する新規物質の開発をさらに進展させる事で、ガス吸着-誘電応答システムに関する当初の計画以上の研究成果が期待できる。また、研究分担者である千歳科学技術大学においても、光応答性を有する新規な分子ローター構造の開発が順調に進められており、当初予定していた研究成果の達成が期待できる。
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Research Products
(29 results)