2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23246014
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 悟 九州大学, 工学研究院, 教授 (80281640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 明弘 福井大学, 工学研究科, 准教授 (10251985)
稲垣 祐次 九州大学, 工学研究院, 助教 (10335458)
小森 文夫 東京大学, 物性研究所, 教授 (60170388)
水野 清義 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (60229705)
寒川 義裕 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (90327320)
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Keywords | グラフェン / 電子状態 / 表面制御 / ナノ構造 / ナノリボン |
Research Abstract |
SiC基板表面の熱分解によるエピタキシャルグラフェン成長は,大面積化・高品質化が可能であるということから基礎物性探索や次世代デバイス応用という観点から注目されている.既に分数・整数量子ホール効果や高い移動度など優れた特性が報告されており,重要性は明らかであるが,構造制御(層数,モフォロジー,ドメイン,積層,界面構造,エッジ)が十分ではないために,各種物性研究やデバイス応用に関して問題が多い.従って,構造-物性相関という観点からの研究アプローチは有意義である.そこで本研究では,傾斜SiC基板表面にユニークに発現する周期化ナノファセット構造(SiCナノ表面)をテンプレートとし,グラフェンナノ構造の自己形成を行い,物性相関を明らかにすることを目的としている.これまでに,熱分解法によるグラフェン形成メカニズムに関して断面TEMやAFM観察によって考察を行い,埋め込まれた「グラフェンナノリボン」,「周期リップル構造」の形成を実現した.それらの物性をラマン分光および角度分解光電子分光(ARPES)により調べた.特に周期リップル構造にはグラフェンの1次元周期性を反映したK点におけるフェルミ速度の異方性(ディラックコーンの歪み)が認められた.また,Ar大気圧雰囲気によってマクロスケールのステップバンチングが生じることを見出だし,テラス部分とファセット部分のグラフェンの界面構造が異なる可能性を示唆する結果をAFMおよび顕微ラマン分光により観察した.現在,ARPESやSTMを用いた構造・電子状態の解析を行っている.更に,熱分解グラフェンのみならず,固体カーボンソースを用いたMBE法により,ナノ構造(特にナノリボン)の形成も行い,エッジ状態やリボンの電子状態の評価を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種々のグラフェンナノ構造の形成に成功しており,新奇なラマン・電子物性が観察されている.現在論文化を行っており,1年目としては順調であると判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
当初掲げた熱分解法のみならず,MBEによるエピタキシャル成長グラフェンに注目している.それは基板となるSicナノ表面構造を保持できる利点を有しており,ナノオーダーで制御されたグラフェンナノ構造の実現が期待できるからである.
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Research Products
(5 results)