2012 Fiscal Year Annual Research Report
もつれ合い局在プラズモンによる超高効率2光子反応プロセス
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23246016
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
笹木 敬司 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (00183822)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 微小球共振器 / 顕微分光イメージング / 金属ナノ構造体 / 光局在 / 光反応増強 |
Research Abstract |
本研究では、もつれ合い光子を金属ナノギャップ構造に照射して時間もつれ合い局在プラズモンを誘起する(光子の時空間的極限操作)という独自のアイデアにより、超高効率な2光子反応プロセスを世界に先駆けて実現すると共に、これまで高強度励起が常識であった2光子重合反応を、極微弱な(数十フェムトワット)CWインコヒーレント光で誘起することを可能とし、さらに、光子数もつれ合い状態を併せて利用して回折限界を打ち破る超微細パターンを2光子重合により形成する初の実験を実現することを目指して研究を展開している。本研究は、超微細光加工、超高密度光記録や高効率な光反応・光エネルギー変換システムの実現に向けてブレークスルーとなりうる新しい展開が期待できる。具体的には、電子線描画装置を用いたリソグラフィー技術により、金ナノギャップ構造体を設計に基づいて製作した。電子科学研究所附属ナノテクノロジー研究センターの設備および技術職員の支援により、国内でも有数の高分解能微細加工技術の実績が既にあるが、本年度に導入された最新機種の電子線描画装置により、さらなる解像度の向上を図った。作製した構造体の分光測定や発光測定を行い、数値解析にフィードバックしながら微細加工条件の最適化を図った。一方、開口数が大きく2次波長分散の小さい非球面レンズ系によって、もつれ合い状態を崩さずに光子時間広がりを抑制することができる集光光学システムについて、波長分散から光子時間広がりを計算し、2光子吸収レートを量子論的に見積もって実験条件の最適化を行い、システムの設計を行った。また、もつれ合い局在プラズモンによる2光子反応プロセスの実現に向けて、3次元電磁界分布のシミュレーション解析により、金属ナノギャップ構造体ともつれ合い光子発生・集光光学システムを最適設計した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、プラズモン2光子反応システムの試作・評価、および、もつれ合い局在プラズモンによる2光子重合反応の検証を行い、回折限界を越える2光子重合パターンの形成実験を実施して成果を取り纏める計画であったが、電子線描画装置の不調および電子銃交換があり、またシステムの重要な構成要素である散乱型近接場顕微鏡が故障して修理を行ったため、研究の進捗に遅延が生じた。その間、金属ナノギャップ構造におけるプラズモン増強場を利用した2光子励起プロセスの解析を積極的に進展させ、また、テーパファイバーとのカップリング光学系を構築して、超高効率2光子発光現象の観測に成功した。結果として、局在プラズモンによる非線形光学プロセスの研究に新たな道を拓くことができたことは大きな成果となり、研究計画に変更が生じたが、全体としては着実に進展があったと自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、もつれ合い局在プラズモン2光子反応システムを完成させて、作製した構造体の分光測定や発光測定を行い、数値解析にフィードバックしながら微細加工条件の最適化を図る。一方、紫外半導体レーザーと非線形光学結晶を用いて高純度のもつれ合い光子発生源を開発すると共に、非球面レンズ系によってもつれ合い状態を崩さずに光子時間広がりを抑制した集光光学システムを構築する。また、ニアフィールド顕微鏡および2光子検出システムを組み合わせ、集光スポットにおけるもつれ合い光子密度、もつれ合い状態の空間分布等の観測を実現する。また、金ナノギャップ構造体に重合開始剤を含有したレジストフィルムをコートし、試作したもつれ合い局在プラズモン発生システムを用いて2光子反応プロセスを励起する。試料を化学処理した後、高分解電子顕微鏡で観察する。これにより、「もつれ合い局在プラズモンを用いて超高効率に2光子重合反応を誘起する初の実験」を実現する。もつれ合い光子の密度を変えながら2光子重合反応を定量的に分析し、線形性の確認を行うと共に理論との整合性について考察する。また、光学系の開口数を調整してもつれ合い光子の空間広がりを変化させた場合、分散媒質や分光フィルターを挿入してもつれ合い光子の時間広がりを変化させた場合、さらに、照射光中のもつれ合い光子と古典光子の割合を変化させた場合等の解析を行い、現象が量子効果であることを実証する。関連研究者との議論を深め、超解像リソグラフィー、超分解3次元イメージング、超高密度3次元光メモリ、高機能光反応・光触媒、高効率光エネルギー変換等への応用を視野に入れた将来像をまとめる。
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Research Products
(6 results)