2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23246038
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高木 敏行 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (20197065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 寛之 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (80325943)
竹野 貴法 東北大学, 国際高等研究教育機構, 助教 (00451617)
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Keywords | 導電性硬質炭素膜 / 先端機能デバイス / 機能性コーティング / モニタリング |
Research Abstract |
本研究では広い範囲の構造物を対象に従来の定期的な検査に代わり劣化・損傷の状態を1枚のシートに複数のセンサを組み込んだ薄膜を用いることにより計測し、容易に長期モニタリングを可能にするための研究である技術の基礎原理を確立することを目指している。 平成23年度はマルチセンサ薄膜の添加元素およびセンサ形状の基礎原理の検討を行った。 本研究グループでは、これまでに非晶質炭素膜(DLC膜)に遷移金属(Ti,V,Cr,Co,Ni,Mo等)あるいは貴金属(Pt系金属)、タングステン(W)を添加した導電性硬質炭素膜(MeDLC)薄膜を成膜し、電気・磁気的特性の評価を行っている。これらの材料はセンサとしての基本的な性能を有しているが、状況モニタリング用のセンサとして定量的に評価するためには、膜に添加する金属種によるセンサ特性と劣化状態の相関を明らかにする必要がある。今年度は添加金属とセンサ形状について、電気特性と磁気特性の2つの観点から検討し、外場(電場、磁場、応力)に対する応答の評価が可能なセンサ構造を提案した。また、モニタリング用MeDLCセンサを試作し、繰返し応力負荷におけるセンサの特性変化を確認した。尚、成膜にはマグネトロンプラズマCVD装置とスパッタリング堆積装置を用い、今年度研究費で整備したエネルギー分散型X線分析システムを用いて、成膜した材料の微細な構造評価を行った。具体的な実施項目は以下の通りである。(1)材料設計DLC薄膜にセンサ機能を付与する金属種及び組成を検討した。(2)成膜技術ナノクラスタ金属を含んだDLC薄膜について成膜プロセスの最適化を行った。(3)機能評価原子間の結合状態の評価及び薄膜内部組織の直接観察を行い、薄膜内部に分散する金属クラスタの機能を明らかにした。(4)微細組織評価を評価した。(5)電磁特性評価繰返し応力に対する応答性、機能特性などを評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23度は化学気相合成法と直流スパッタ法により作製したMeDLC(Mo添加)膜の疲労センサとしての機能性について検討し、繰り返し歪みを加える振動試験において曲げ回数と共にインピーダンス特性が変化することが分かった。これによりMeDLC膜の疲労センサとしての可能性が示されたとともに、疲労の定量的変化手法について知見を得ることが出来た。これらの結果に平成23年度研究実施計画を概ね遂行したことから、上記達成度と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
マルチセンサ薄膜を用いたモニタリングでは、外場によって変化する微小電流信号を適切に処理し、評価の信頼性を高めることが重要である。本課題では渦電流探傷(ECT)法における信号処理手法をもとに、データ抽出方法と外場の変化量の推定法の検討を行う。ここでは、外場変化のパラメータ化を行い、電気的・機械的特性の変化と劣化過程の相関を明らかにする。ECT法では、材料表面に渦電流を流して材料に発生する電磁誘導の変化から検査対象物の傷とその深さを非破壊的に検出する手法である。本研究の場合には、この電磁誘導の変化による渦電流信号が外場によって誘起されたセンサ信号の変化に対応する。このセンサの信号変化に基づいて材料の劣化やき裂などの経年変化あるいは変化の兆候を抽出するための劣化モデルを構築する。
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Research Products
(11 results)