2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23246107
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
中川 理 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (60212081)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 宏 名城大学, 農学部, 教授 (30157416)
小野 芳朗 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (50152541)
石田 潤一郎 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (80151372)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 都市基盤史 / 都市計画史 / 土木史 / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度までの研究を再度検証し、さらに踏み込んだ考究が必要と考えられるテーマを明らかにし5回の研究会(都市基盤史研究会)を実施し、以下の10題の研究発表と討議を行った。(1)村上しほり(人と防災未来センター)「占領下日本の都市空間―神戸ヤミ市の生成と展開に着目して―」、(2)堀田典裕(名古屋大学)「山林都市の思想とその展開」。大名庭園の近世と近代―<好み>から<規格>へ、(3)小野芳朗(京都工芸繊維大学)「岡山後楽園」、(4)本康宏史(金沢星稜大学)「金沢兼六園」。二大都市計画理論(田園都市論と近隣住区論)の導入過程、(5)中江研(神戸大学)「日本毛織の社宅街開発と田園都市論」、(6)中野茂夫(島根大学)「日立製作所の工業都市計画と近隣住区論」。(7)松山恵(明治大学)「日本近代都市史─過去、現在、そして未来─」、(8)中川理「わが国近代都市空間史の転換点試論-京都から考える」。(9)川口朋子(京都府資料館)「建物疎開と都市防空をめぐって」、(10)江口久美「パリの歴史的建造物保存と都市計画をめぐって」。 これにより、わが国の都市空間システムが成立する要件として、A.近世の城下町のシステムからの影響((3)、(4))、ヨーロッパからの理論の導入((2)、(5)、(6))、都市支配と空間変容((7)、(8))、敗戦を契機に現れる変容システム((1)、(9))などのテーマに対して共通の理解を得ることができた。そこでは、空間を制御しようとするシステムが多様な文化的要素の積み重ねにより成立することが明らかにされた。そこで、それをより客観的に明らかにするため、比較検討として、フランス(パリ)での建築・空間の制御のあり方を検討し(10)、また南京(中国)の近代的空間変容を歴史的にとらえようとしている東南大学建築学院の陳薇(CHEN WEI)の協力を得て中国との比較検証も行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画されていた研究会を予定通り実施し、その議論により成果を上げた。また、その成果の客観性を得るために、海外(フランス・中国・台湾等)との比較検証も行い成果をあげた。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまで4年間に、23回にわたりわが国都市の近代史をあつかう最先端で研究してきた研究者を招へいし、研究会(都市基盤史研究会)を実施してきた。それにより、わが国の都市空間システムの成立にかかわる多くの要素を抽出することができた。最終年度に向けて、これらを統括し、研究報告としてまとめる必要がある。申請時には、その要素を主体、理念、技術に区分してとらえるとしたが、これまでの成果に基づき研究をまとめにあたっては、この区分とは別に、近世からの影響、近代理論の導入、近代的制度と土地所有、空間支配と共同体、開発と保存の理論形成、災害の混乱と統制などのテーマを設定し、各々に議論を構築する方法をとることにしたい。 また、そこでの議論を確かなものとするために、諸外国、とりわけアジアでの比較検証も行う必要がある。 成果については、論文集(単行本)として出版する予定であり、その編集作業も同時に行っていくこととなる。
|