2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23246142
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
松岡 英明 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10143653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 美佳子 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (20291346)
舟橋 久景 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 助教 (60552429)
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Keywords | 生体材料 / 生物・生体工学 / 再生医学 / 生体生命情報学 / 単一細胞解析 |
Research Abstract |
ES細胞を利用した技術に対する期待が高まるなか、ES細胞の性質の一層深い理解が求められている。本研究は、未分化性関連遺伝子群は、個々の遺伝子の発現レベルは絶えず変動しつつも、全体では準安定状態にある、という仮説を提唱し、それを検証するために、フェムトインジェクションを利用した単一ES細胞の動的解析プラットフォームを確立することを目的としている。 初年度は、蛍光シグナルを指標とする単一ES細胞実験において、各遺伝子発現の動的解析のためのプラットフォームを確立するために、以下の課題を実施した。 (1)EGFPとDsRedのES細胞内における蛍光レポータータンパクとしての定量性の検証:タンパク質としてのEGFPとDsRedを生合成で作成しES細胞内に導入し72h連続測定した。その結果、EGFP蛍光の半減期は2~3hであったが、DsRedでは12hまで蛍光強度を保持する場合もあった。EGFPは予想より代謝が速いことが分かった。 (2)ES細胞内での蛍光シグナルの時空間変動の解析法の確立:人為的に細胞質から核への移動を促進させるような工夫をすることによって、蛍光タンパクが細胞内で時空間的に変動する様子、すなわち細胞質から核への移行が促進される様子を動画でとらえることができ、定量的議論ができる見通しが得られた。 (3)遺伝子発現制御因子の中で特にタンパクの生合成・精製方法の最適化:既に予備的に検証していたOct3/4について、生成功率、純度に及ぼす因子についての基礎情報を得た。すなわち、可溶画分と不溶画分の処理条件の比較、GSTタグとHisタグの比較、8M Ureaでの変性処理、などである。 (4)単一細胞蛍光強度変化を高精度に連続計測するための3次元細胞座標追尾システムの開発:ES細胞の位置を3次元座標として登録することによって、細胞ごとに焦点位置の異なる場合でも、複数の単一細胞の蛍光画像を高精度に連続計測できるようにロボットの改良を行い、所期の性能が得られるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
蛍光シグナルを指標とする単一ES細胞実験において、各遺伝子発現の動的解析のためのプラットフォーム開発の観点から、極めて重要かつ困難な課題を実施し多くの成果を挙げた。Oct3/4以外の遺伝子についての課題は次年度に持越しとなったが、全体計画の中では概ね順調と判断された。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究成果をさらに発展させて、蛍光シグナルを指標とする単一ES細胞実験プラットフォームの確立を目指す。併行して、他の3遺伝子について、ベクターや細胞の開発課題を進める。具体的には、(1)EGFPとDsRedのES細胞内への同時導入による、両蛍光シグナルに及ぼすES細胞の分裂過程、分化過程の影響の精査、(2)ES細胞内での蛍光シグナルの時空間的変動をリアルタイム解析する方法の確立、(3)蛍光タンパクの純度および本来のタンパクとしての機能保証、などである。
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Research Products
(11 results)