2012 Fiscal Year Annual Research Report
分割型高温超伝導マグネット実用化のための普遍的接合技術の創成と実証
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23246159
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
橋爪 秀利 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80198663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江原 真司 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30325485)
伊藤 悟 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60422078)
遊佐 訓孝 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60466779)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | プラズマ・核融合 / 超伝導材料・素子 |
Research Abstract |
本研究の目的は、分割型高温超伝導マグネットの実現性を示すために、普遍的接合技術を創成し、マグネット分割の基本概念を実証することである。以下、具体的な目的を示す。 (1) 接合部最適化(荷重方向・接合面被覆等)による電気的接合性能向上方法を確立する。 (2) 接合界面での超伝導物理モデルを検討し、線材に依存しない普遍的な接合技術を確立する。 (3) 多孔質体の除熱性能評価実験と数値解析コード高度化による除熱システムの最適化を行う。 本年度は上記、目的を達成するために、以下の項目を実施した。1) 高温超伝導導体の機械的接合法の開発 接合面の角度、荷重条件、導体構造に対する接合性能向上の系統的な実験・数値解析を行い、小型導体を用いた実験の結果と数値解析によって、大型導体を用いた場合の接合抵抗の予測するモデルを確立した。また、マグネトロンスパッタ装置を用いて金属薄膜を接合面に形成して接合試験を実施し、接合抵抗を低減させるには接合面の凹凸スケールよりも大きな膜厚が必要であることを示した。さらに30 kA級の導体を製作し、接合抵抗が核融合炉用マグネットに適用できるレベルまで低減できることを実証した。2) 多孔質体を用いた先進冷却システムの開発 本年度は、昨年度整備した液体窒素流動試験装置を用いて、ブロンズ粒子焼結金属多孔質体を用いた冷却システムにおいて、液体窒素の流量・サブクール度と除熱特性の関係を評価した。サブクール度の変化に対して、限界熱流束はほぼ一定であり、流量の増加にともない限界熱流束が大きく向上することを示した。また、分割型マグネットを模擬した伝熱解析を行い、マグネット内の材料配置が冷却システムとして重要であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はBSCCO導体、GdBCO導体を用いた接合試験および数値解析を通して、接合抵抗の定量的評価が可能な解析モデルを提案し、大型導体での接合抵抗の予測ができる手法を確立した。また、当初の予定通り、マグネトロンスパッタ装置を用いて接合面の金属薄膜を形成して、その膜厚と接触抵抗の関係性を評価することができた。さらに当初の予定を超えて30 kA級の導体の製作と接合試験を行い、大型導体における低接合抵抗の実現にも成功している。多孔質体を用いた先進冷却システムの開発についても、着々とデータを取得しており、また、マグネット全体の設計へ適用した場合の伝熱解析も進めている。以上、全体を通して、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
高温超伝導導体の機械的接合法の開発については、引き続き、2 kA級の銅ジャケット付BSCCO導体および銅ジャケット付YBCO・GdBCO導体の接合面に金属薄膜を形成し、金属薄膜の材質・厚さ等の条件と接合抵抗の関係性を評価して、接合抵抗の低減とばらつきの抑制が可能な最適接合条件を検討する。また、本年度に製作した30 kA級高温超伝導導体を用いて、さらなるデータ取得、すなわち、実機運転条件における低接合抵抗の実証試験を行う。さらに、接合界面での超伝導物理モデルの検討と普遍的な接合手法の確立を目指して、超伝導体→機械的接合部→超伝導体と電流が流れる場合の、従来の純粋な超伝導のモデル・理論の適用限界の評価を行うと共に、接合部での臨界電流密度を取り扱うための新たなモデルの構築を行う。構築したモデルに基づく数値解析結果と取得した実験データの比較を行うことで、モデルの妥当性を検証し、普遍的な機械的接合方法の提案を行う。 多孔質体を用いた先進冷却システムの開発については、多孔質体パラメータ、液体窒素条件、流動条件の伝熱性能への影響評価実験を行い、局所除熱に最適な多孔質体のパラメータを決定する。また、多孔質体を導入したことによる分割型マグネット全体の温度上昇抑制効果を数値解析により併せて評価し、分割型高温超伝導マグネットの冷却設計の最適化を行う。
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