2011 Fiscal Year Annual Research Report
MA-MOX燃料中のヘリウム挙動の計算科学的手法による解明と体欠陥形成制御
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23246174
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
芹澤 弘幸 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究副主幹 (90355008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芳賀 芳範 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究主幹 (90354901)
町田 昌彦 独立行政法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究主幹 (60360434)
山中 伸介 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00166753)
中村 博樹 独立行政法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究員 (40350483)
高野 公秀 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究副主幹 (40501367)
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Keywords | ヘリウム / 負結晶 / 計算物理 / セラミックス / MA-MOX / ネガティブクリスタル / 表面自由エネルギー |
Research Abstract |
1.計算科学的分野における実績 簡易的な交換相互作用ポテンシャルを用いた第一原理計算を実施し、二酸化ウランの結晶格子面{111}、{100}、{110}の表面自由エネルギーを計算した。単純なファセッと面として計算した場合、実験結果から予想される結果とは異なり、{110}が{100}よりも表面大きな表面自由エネルギーの値を示すことがわかった。しかし、不安定な{100}がトレンチ構造をとり、その溝側面に{111}が発現することによってエネルギーを緩和するものとして計算することにより、実験結果に近づくであろうとの見込みが得られた。また、クラスター計算によって、欠陥がない場合にHeクラスターが生成すると考えられるoctahedral interstitial site(OIS)にHe2クラスターが生成した際の構造や、He原子がUO2中を拡散する際のエネルギー障壁を計算した。OIS中では、He-He原子間距離は1.49Åとなり、Heは周囲の酸素原子やHeとできるだけ離れるように配置することが分かった。 2.実験分野における実績 本年度目標としていた、ディラートメータ及び超高圧加熱装置の施設内への設置は予定通り完了した。セラミックス試料のHIPによるヘリウム溶解試験は予定通り実施し、MgO単結晶SrTiO3単結晶,CeO2多結晶についてガス放出試験を実施したが、MgO及びSrTiOe単結晶には、ヘリウムが溶解した痕跡も認められなかった。一方CeO2では、溶解したヘリウムが放出時に形成したと考えられる結晶粒界バブルが認められた。ヘリウムが溶解したUO2試料に形成されたネガティブクリスタルを、FE-SEMを用いて詳細に観察し、これまではっきりとは観察できていなかった{110}面を鮮明に画像としてとらえることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計算科学分野においては、UO2の表面自由エネルギー計算の方針を決めることができたとともに、二体間ポテンシャル評価をするにあたって試験的に模擬物質であるCeO2のポテンシャル評価に成功した。また、実験分野においても、震災の影響や予算確定時期め遅延があり、装置購入は遅れたが、予定通り設置を完了している。したがって、研究計画全体としては、予定通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題は、現状で予定通り進んでおり、当初の計画通り研究を進める。
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