2011 Fiscal Year Annual Research Report
膜超分子べん毛モーターの動的構造変換と機能発現の研究
Project/Area Number |
23247024
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
本間 道夫 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50209342)
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Keywords | モーター / べん毛 / エネルギー変換 / 生体膜 / イオン駆動力 / ナトリウムイオン / タンパク質構造変換 |
Research Abstract |
膜超分子体である細菌べん毛は、イオン流入のエネルギーを動力源として高速で回転させる。細菌べん毛モーターは、回転子とそのまわりにある固定子から構成されており、それらの間で回転力を発生する。本申請では、ナトリウム駆動型べん毛モーターのエネルギー変換ユニットである固定子におけるイオン透過時のダイナミックな構造変化と、回転子相互作用を解明することを目的としている。大腸菌に固定子タンパク質を発言することで、in vivoでの固定子のイオン取り込み活性を原子吸光により測定することに成功した。種々のこれまで解析された固定子変異体のイオン透過能を直接に調べることが可能となり、機能解析に大きな進展があった。イオン透過経路に関して、固定子タンパク質であるPomBの膜貫通領域に存在するF22残基が、ナトリウム結合残基であるD24からのイオンのリリースに重要であることを示した。回転子FliGのC末端球状ドメインのコアを形成する残基への変異(L259Q, L270R, L271P)によって、固定子の集合が阻害されモーターが回転できなくなることを示した。これらの変異により、固定子との相互作用を担うFliGのC末端ドメイン(FliGC)の構造が大きく変化について、FliGCを発現・精製し、トリプシン感受性を調べた。その結果、3種の変異体とも野生型の分解パターンとは異なっており、変異により構造が大きく変化していることが示唆された。さらに固定子蛋白質PomA細胞内領域の7つの運動能欠損変異体ついて固定子の集合能を調べたところ、すべてにおいてGFP融合固定子の極局在率は低下していた。それらPomA変異体の多くが、発現量・固定子複合体形成能・固定子のNa+透過能のいずれかにより固定子集合の低下を引き起こしているが、H136Y変異体では、固定子-回転子間相互作用の阻害が固定子集合の低下の原因である可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画について、エネルギー変換複合体の力発生蛋白質相互作用検出が、NMR, Biacore, DSCなどにより検出できなかったので、研究の重点を若干変更し、イオンの測定系の改良により、イオン透過能、イオン透過経路、について実験結果を得ることができた。さらに、それらの結果を論文にまとめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
エネルギー変換複合体の力発生蛋白質相互作用検出がうまく行ってないが、他に関しては、おおむね順調に計画は進行しているので、大筋で、これまでどうりに進める。エネルギー変換複合体の力発生蛋白質相互作用検出については、好熱菌由来の蛋白質をつかうことで、安定な相互作用をすることを期待して、発現系の構築を進めている。
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Research Products
(11 results)