2013 Fiscal Year Annual Research Report
膜超分子べん毛モーターの動的構造変換と機能発現の研究
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23247024
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
本間 道夫 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50209342)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | モーター / べん毛 / エネルギー変換 / 生体膜 / イオン駆動力 / ナトリウムイオン / タンパク質構造変換 |
Research Abstract |
細菌べん毛モーターは、タンパク質で作られた回転分子機械である。その回転力は、モーター固定子内のチャネルを通って流れるイオンがエネルギーとして使われ、固定子と回転子が相互作用することで作られる。ビブリオ菌のナトリウム駆動べん毛モーターの固定子は、PomAとPomBで構成される。PomBのC末端断片(PomBC)の結晶構造を2.1 オングストロームの分解能で決定し、大腸菌MotBの構造と比較した。それらの構造情報は、固定子が回転子に集合する際にPomBCのN末端領域に大きな構造変化が起こることを示唆していた。構造に基づいて、in vivoでのジスルフィド架橋実験のためPomBに2つのCys残基を導入した二重変異体を作成して運動能を調べた。その結果、いくつかの変異の組み合わせで運動能が阻害されることが分かった。還元剤を加えることで、その運動阻害は回復することができた。これらの実験から、固定子が集合して活性化するためには、PomBのα1 ヘリックス(154-164)のN末端の約三分の二部分の構造が変化することが必要だと推測された。また、システイン架橋して機能を欠損しても、固定子のイオン透過性や集合に影響を与えなかったことから、α1ヘリックスとPomBCのコアドメイン間のコンホメーション変化は、回転子に固定子が集合する際の最終段階で起こると考えられた。本研究は、C末端α1ヘリックスとBサブユニットのコアドメインの構造変化が、固定子の回転力発生機能と固定子を回転子の周りに集合する際に重要であることを示した。また、動的なBサブユニットの構造変化により、固定子複合体のチャンネルが開口し、イオン流入が誘発され、回転力が発生する機構の理解に大きく貢献すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当ナトリウム駆動型のモーター固定子について、部分的ではあるが、結晶構造解析に成功した。プロトン型の部分と比較することで、構造変化を予測し、実験により構造変換モデルの改訂ができた。この成果を論文としてまとめることができたため、現在、投稿している。
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Strategy for Future Research Activity |
エネルギー変換複合体の力発生蛋白質相互作用が、NMR, Biacore, DSCなどにより検出できなかった。原因の1つはモーター膜蛋白質を大量に精製することが難しい点にある。研究の重点を若干変更し、好熱菌由来の蛋白質の発現系の構築が成功しているので、この蛋白質を使って研究を進めることで、安定な相互作用検出を期待している。
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Research Products
(28 results)