2011 Fiscal Year Annual Research Report
増殖と分化を連係する中間径フィラメントの新しい機能の解明
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23247035
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
稲垣 昌樹 愛知県がんセンター(研究所), 発がん制御研究部, 部長 (30183007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井澤 一郎 愛知県がんセンター(研究所), 発がん制御研究部, 室長 (20311441)
笠原 広介 愛知県がんセンター(研究所), 発がん制御研究部, 研究員 (90455535)
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Keywords | 中間径フィラメント / 増殖 / 分化 / ケラチン / 細胞骨格 |
Research Abstract |
トリコプレイン蛋白質が分化・増殖転換のカギとなる可能性と、それが一次繊毛形成制御を介した新規メカニズムによることを示す結果を得た。我々が増殖状態のRPE1細胞でトリコプレイン機能欠失(ノックダウン)を行ったところ、一次繊毛が形成された。つまり、トリコプレインは増殖期に一次繊毛形成が生じないようにしている。このトリコプレインの機能には(1)中心体局在化と(2)分裂期キナーゼであるオーロラAをG1期に活性化することの両方が必要なことをin vitroの生化学的実験および培養細胞を用いた実験で明らかにした。さらに、トリコプレインノックダウンでは細胞周期の休止を認めたが、一次繊毛を除去した系ではノックダウンでも細胞周期が休止していなかった。以上のことから、この細胞でトリコプレインは一次繊毛形成を抑制しており、そのことが円滑な細胞周期(G1期)進行に大きく寄与していると考えられる。 一方、ビメンチンの細胞周期に依存した特異的リン酸化部位の変異マウスの作製・解析を行った。今回作製したホモ変異マウスでは、白内障を生じる事が明らかになった。ホモ変異マウスの水晶体の上皮細胞において、細胞分裂が終了しているにもかかわらず、2つの娘細胞が完全に断裂されていない細胞が見られ、多倍体の細胞も認められた。すなわち、今回作製した遺伝子改変マウスにおける白内障という表現型は、ビメンチンが細胞周期依存的にリン酸化されない事によって、分裂期の異常を引き起こした結果であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トリコプレインの一次繊毛制御機構を解明した論文が採択され、また、ビメンチン・ノックインマウスの解析が順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画のとおり、今後、トリコプレイン類縁蛋白質の網羅的解析を行い、TPHDをもつ蛋白質群がもつ機能を明らかにする。また、トリコプレイン・ノックアウトマウスおよびビメンチン・ノックインマウスの解析を進め、個体レベルでの機能を解明する。
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