2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23247044
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
綿貫 茂喜 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (00158677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 博樹 北里大学, 医学部, 准教授 (40401228)
キム ヨンキュ 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (50432886)
星 良和 東海大学, 農学部, 准教授 (70332088)
近藤 隆一郎 九州大学, 農学研究院, 教授 (80091370)
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Keywords | mtDNA多型 / 寒冷適応 / 季節性順応 |
Research Abstract |
生理人類学における生理的多型には諸要因(遺伝、環境、文化)が関与するが、生理的多型を遺伝要因から探った研究は少ない。そこで本研究では、寒冷適応や高地適応との関連が示唆されているmtDNA多型と現代日本人の生理反応に焦点を当てて、生理的多型の遺伝的要因を明らかにすることを目的とした。そのために種々の環境下での生理値を夏期と冬期に測定し、得られた生理的多型とmtDNA多型の関連性を検討した。その結果、夏期の寒冷曝露実験においてはハプログループDが耐寒性に優れ寒冷適応した集団であり、日本人の生理的多型の一部を構成していることを示したが、冬期の実験では他グループとの差は消失した。これは遺伝的適応よりも季節性の寒冷順応によって獲得される耐寒性が大きいことを示唆する。ただし、呼気ガス分析からハプログループDは冬期においてより脂質を代謝している可能性があり、褐色脂肪細胞等の非ふるえ産熱が亢進し、より効率的な耐寒性を持つかもしれない。しかしながら、これ以上の議論はmtDNA多型だけでは困難であり、ハプログループDの特性をより詳細に検討するためには、mtDNA多型だけではなくより広範なゲノム探索及び種々の生理値の測定が必要であることが示唆された。このゲノム探索は次年度に行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画は達成され、論文投稿、学会発表ともに順調に行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はさらに被験者の追加を行い、耐寒性とは逆の耐暑性について検討する。また寒冷適応に比べて季節などの影響を受けにくいと考えられる高地適応能(低圧適応能)について検討するための実験を行う。 具体的には下記の実験を行う。 ・mtDNA多型と耐暑性との関係を調べる。 ・mtDNA多型と低圧耐性能との関係を調べる。 ・基礎代謝関連候補遺伝子のハプロタイプ連鎖不平衡解析を行う。
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Research Products
(3 results)