2012 Fiscal Year Annual Research Report
バイオベースケミカルインダストリーを創出する有用微生物触媒の開発
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23248014
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小川 順 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70281102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 晃規 京都大学, 学内共同利用施設等, 助教 (10537765)
日比 慎 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (30432347)
岸野 重信 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (40432348)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 酵素合成 / 微生物変換 / ジカルボン酸 / ジオール / オレフィン / NADH / ATP / 水酸化 |
Research Abstract |
不飽和脂肪酸飽和化代謝の初発反応を触媒する水和酵素のバルク化成品生産への応用を試みた。L. plantarum AKU 1009a由来の水和酵素(CLA-HY)をHis-tag融合タンパク質として大量発現する形質転換大腸菌を作成した。形質転換大腸菌を培養し、集菌・洗浄した菌体を触媒として用い、リノール酸やα-リノレン酸を基質として反応を行った結果、それぞれ10-hydroxy-cis-12-octadecenoic acid、10-hydroxy-cis-12-,cis-15-octadecadienoic acidを得ることができた。また、反応条件を最適化することにより、基質濃度約30% (w/v)から95%以上の収率で生産物を得ることでき、さらに生成物の精製プロセスについても検討を行い、純度99%以上まで精製する系の確立に成功した。 研究例の少ないカルボキシル基の還元反応の探索を試みた。オクタン酸を添加した培地を用いて嫌気性細菌を培養し、オクタン酸の変換能を有する微生物の探索を行った結果、15 株において脂肪酸をアルコール(1-オクタノール)へ還元する活性を見いだした。最も高い脂肪酸還元能を示したEubacterium limosum JCM 9976において、炭素数6以上の飽和脂肪酸や炭素数10以上のジカルボン酸のほか、水酸化脂肪酸、芳香族脂肪酸、さらにアルデヒドをそれぞれ対応するアルコールへと還元することを明らかにした。また炭素数4以下の短鎖脂肪酸変換能を有する嫌気性微生物の探索をプロピオン酸を基質として行ったところ、土壌単離嫌気性細菌において炭素数3~8の飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸および分枝脂肪酸を対応するアルコールに還元する活性を見いだした。また土壌分離菌G49株において中鎖脂肪酸の対応するアルコールへの還元能を見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
バイオマスからの化成品生産に対する関心が高まるなか、石油に由来する高還元物質をいかにバイオマスから誘導するかが課題となっている。我々は油脂を高還元物質としてとらえ、その微生物変換反応の開発に取り組んでいる。 本研究により、微生物を用いて希少脂肪酸である水酸化脂肪酸を高効率、高純度で生産することが可能となった。水酸化脂肪酸は、希少脂肪酸である共役脂肪酸やオキソ脂肪酸の原料や、ナイロン、化粧品等の石油由来製品の原料となりうることから、本酵素および生成物の応用開発に期待が持たれる。また、脂肪酸を対応するアルコールへと変換する微生物を多数見いだすなど、バイオマス由来の高還元物質の分子種を多様化しうるツールのライブラリーを拡充している。
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Strategy for Future Research Activity |
素反応の探索開発が順調に進んでいることを考慮し、より、エネルギー・電子を橋渡しする微生物機能との共役化に注力する。 ①基幹合成原料に必要な分子構造を誘導しうる新規微生物触媒の開発:1)NADH再生系を共発現する水和・脱水酵素発現大腸菌、ならびにアルコール脱水素酵素発現大腸菌、さらに、バイヤー・ビリガー酸化酵素発現大腸菌とエステル加水分解酵素を組み合わせたセバシン酸生産プロセスの最適化を行う。2)アシルCoA合成系を共役したカルボン酸還元酵素発現大腸菌とアルデヒド還元酵素発現大腸菌を組み合わせたジオール生産プロセス、ならびにトランスアミナーゼを組み合わせたジアミン生産プロセスの検討・最適化を行う。また、アルデヒド還元反応をアミノ酸からのアルコール生産プロセスへと応用する。3)L. plantarum由来水和・脱水酵素を参考に、FAD/NADH再生系との共役を図り、オレフィン生産反応の効率化・最適化を行う。 ②エネルギー・電子を橋渡しする微生物機能の開発:1)水和・脱水酵素高発現株を用い、基幹合成原料となりうる水酸化脂肪酸の油脂からの生産プロセスを構築する。2)基質特異性が異なる合成酵素とエステラーゼの組合せにて、酵母によるATP再生系との共役を検討する。また、カルボン酸還元酵素とアシルCoA合成系の共役化を図る。3)大腸菌のTCAサイクル関連遺伝子の破壊によるα‐ケトグルタル酸(α‐KG)の高蓄積化、ならびに、P450モノオキシゲナーゼとスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)の共発現株の構築と安定性・活性構造への寄与を検証する。さらに、α‐KG供給系の強化、SODの共発現により効率化した触媒を用い、様々なアルコール類の生産を試みるとともに、オレフィン生産系との組み合わせにより多様なオレフィン類の生産を試みる。
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[Journal Article] A novel Fe(II)/α-ketoglutarate-dependent dioxygenase from Burkholderia ambifaria has β-hydroxylating activity of N-succinyl L-leucine2012
Author(s)
Hibi, M., T. Kawashima, T. Kasahara, P.M. Sokolov, S.V. Smirnov, T. Kodera, M. Sugiyama, S. Shimizu, K. Yokozeki, J. Ogawa
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Journal Title
Lett. Appl. Microbiol.
Volume: 55(6)
Pages: 414-419
DOI
Peer Reviewed
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