2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23248018
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浅見 忠男 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (90231901)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 植物ホルモン / ジベレリン / ストリゴラクトン / クロストーク / 創薬 / 農薬 / 植物生長調節剤 / 遺伝子 |
Research Abstract |
I)SL生合成阻害剤の構造活性相関研究 阻害剤リード化合物として発見したMA39の誘導化を行い、特異性が向上したTIS108を創製した。 II)高活性・高持続型SL活性ミミックの開発研究 ストリゴラクトンミミックのリード化合物として見いだした化合物はストリゴラクトン類と異なり、植物ホルモン活性については高活性であり合成が容易である。しかし寄生雑草種子発芽促進活性は無かった。そこで誘導体化を行い、植物ホルモンとしての枝分かれ抑制活性に特化したSL活性ミミック、寄生雑草種子発芽促進活性に特化したSL活性ミミックのリード化合物を得ることができた。 III)SL機能制御剤非感受性イネ変異体の単離と原因遺伝子の同定 SL活性ミミックやSL生合成阻害剤を利用したイネFoxラインからの薬剤非感受性変異体の単離と原因遺伝子の解明研究を行い、候補変異体を数ライン得ることができた。 IV)SL受容体の同定と受容機構の解明 D14タンパク質が転写因子であるNFYCs、DofやGA情報伝達タンパク質と酵母2成分系においてSL依存的に相互作用することを確認した。そこでBiFC法、プルダウン法を用いてSL依存的タンパク質-タンパク質親和性について解析を行った。現在再現性について検討中である。またストリゴラクトンやGA情報伝達タンパク質との共結晶化を試みた。これも現在条件検討中である。 V)SL低生産性植物の作出 GA処理した植物中やDELLAタンパク質の機能欠失型の変異体のSL内生量は著しく低下した。そこで、イネアンモニウムトランスポーター遺伝子プロモーターのような根特異的プロモーターを用いてRNAi法によりDELLA遺伝子の発現を抑制した組換えイネを作出し、根特異的にGAシグナルが活性化されSL内生量が低下したイネの作出を試みた。現在遺伝子組み換え体ラインを複数得て、性状解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
植物ホルモンであるストリゴラクトンの機能発現機構とストリゴラクトン機能制御剤の創製を目指した研究であり、成果は生物学的成果と化学的成果に分かれるが互いの成果に基づいて得られている。 I) SL生合成阻害剤の構造活性相関研究 当初の目的通り新しい選択的阻害剤を得ることができた。作用部位の追究は目的としていないが、現在追究中である。 II)高活性・高持続型SL活性ミミックの開発研究 当初の目的である高活性型ストリゴラクトンミミックの創製に成功した。しかも天然型ストリゴラクトンは植物ホルモン活性、寄生雑草種子発芽促進活性の両方を有しているが、各々に選択的活性を示す化合物を得ることに成功した。この点は目的以上である。現在は目的を超えて、ストリゴラクトン受容体阻害剤の創製に取り組んでいる。 III)SL機能制御剤非感受性イネ変異体の単離と原因遺伝子の同定 SL活性ミミックやSL生合成阻害剤を利用したイネFoxラインからの薬剤非感受性変異体の単離と原因遺伝子の解明研究を行い、候補変異体を数ライン得ることができた。当初の目的通りである。 IV)SL受容体の同定と受容機構の解明、SL低生産性植物の作出 D14タンパク質とDELLAタンパク質のストリゴラクトン依存的結合を明確に示すことができた。当初の計画通りである。現在遺伝子組み換え体ラインを複数得て、性状解析を行っているがこれも計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
I) SL生合成阻害剤の構造活性相関研究 主としてイネを対象としてその生理活性を追究してきたが、化合物の特徴である広汎な植物への効果を確認する予定である。 II)高活性・高持続型SL活性ミミックの開発研究 当初の目的を超えて植物ホルモン活性、寄生雑草種子発芽促進活性の各々に選択的活性を示す化合物を得ることに成功した。今年度は、D14結晶構造に基づき、ストリゴラクトン受容体阻害剤の創製に取り組む。 III)SL機能制御剤非感受性イネ変異体の単離と原因遺伝子の同定 SL活性ミミックやSL生合成阻害剤を利用したイネFoxラインからの薬剤非感受性変異体の単離と原因遺伝子の解明研究を行い、候補変異体を数ライン得ることができた。今年度は、遺伝子の機能解析を行う。 IV)SL受容体の同定と受容機構の解明 D14タンパク質とDELLAタンパク質のストリゴラクトン依存的結合について、共結晶化、結合に必須なアミノ酸残基、加水分解活性と受容体としての活性の関連について追究を行う。 V)SL低生産性植物の作出 現在遺伝子組み換え体ラインを複数得て、性状解析を行っているがこれも計画通りである。今年度は組換えイネのストリゴラクトン生産性、ジベレリン情報伝達の活性化状態について検討を行う。
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