2011 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子の相互作用に基づいたマツ材線虫病発病機構の解明
Project/Area Number |
23248024
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
佐橋 憲生 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 室長 (10202102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋庭 満輝 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 主任研究員 (50353553)
神崎 菜摘 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 主任研究員 (70435585)
渡邊 敦史 独立行政法人森林総合研究所, 材木育種センター, 室長 (10360471)
二井 一禎 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (50165445)
山田 利博 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (30332571)
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Keywords | マツ林線虫病 / 感染症 / 生体分子 / 宿主-寄生者相互作用 / 網羅的解析 |
Research Abstract |
クロマツの感受性個体に対し、マツノザイセンチュウ(Ka-4)を接種後、1時間、3時間、6時間、12時間経過したサンプル、および1日、2日、3日、7日経過したサンプルをミックスし、RNAを単離した(計2試験区として)。各々のRNAサンプルについては、ロシュ社製454FLX次世代シーケンサーでRNAシーケンスを行った。1時間~12時間経過したRNAサンプルをシーケンスした結果、総リード数は437,765リードで、平均長は359.7bpであった。また、リード長の分布は、二峰性で500bp周辺にピークが見られた。抵抗性アカマツでは、線虫の移動(苗木、切枝)、増殖(切枝)が抑制された。組織学的観察では、抵抗性アカマツで皮層樹脂道の閉塞が目立ち、リグニン化の強度の強い部位もみられた。遺伝的に均一なマツノザイセンチュウ集団を得るために、同一の既存系統内で兄妹交配を7回以上繰り返して純系系統を作出した。各系統の増殖力試験の結果、菌叢上と宿主体内のいずれの条件下でも純系系統は親株と異なる増殖能を持つことが明らかとなった。また、菌叢上での増殖力と宿主体内での増殖力は必ずしも対応していなかった。病原力についても、純系系統は親株と異なる結果を示した。遺伝的背景が非常に近く(同じ親株から由来しているため)、しかも病原力が顕著に異なる純系系統は、今後本病害の病原機構を解明する上で非常に有用な研究材料であると期待される。また、マツノザイセンチュウの第4期分散型幼虫で特異的に発現している遺伝子を明らかにするため、材料を準備し、遺伝子解析のための試料を作成しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
純系系統のザイセンチュウを作成し、その増殖量、病原力を明らかにした。また、ザイセンチュウを接種したクロマツから経時的にRNAを単利し、シーケンスを行なった。これらのことから、本課題はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題はおおむね順調に進展しているため、多少の修正を加えながら、おおむね研究計画に沿って進める予定である。ザイセンチュウの宿主との相互作用において発現している遺伝子の探索には、場合によっては、マイクロアレイ解析にかえて、最近急速に進展した、RNA-Seqなどの方法を取り入れる可能性がある。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Genomic Insights into the Origin of Parasitism in the Emerging Plant Pathogen Bursaphelenchus xylophilus2011
Author(s)
Taisei Kikuchi, James A.Cotton, Jonathan J.Dalzell, Koichi Hasegawa, Natsumi Kanzaki, Paul McVeigh, Takuma Takanashi, Isheng J.Tsai, Samuel A.Assefa, Peter J.A.Cock, Thomas Dan Otto, Martin Hunt, Adam J.Reid, Alejandro Sanchez-Flores, Kazuko Tsuchihara, Toshiro Yokoi, Manias C.Larsson, Johji Miwa, Aaron G.Maule, Norio Sahashi, John T.Jones, Matthew Berriman
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Journal Title
PLoS Pathogen
Volume: 7(9):e10022 19
DOI
Peer Reviewed
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