2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23248058
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 啓子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特任教授 (10151094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藍澤 広行 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特任准教授 (90221704)
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Keywords | 食品 / 味覚 / 脳・神経 / シグナル伝達 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
食品に含まれる味物質の情報は、味蕾、味神経を介して脳に伝達され、味が認識される。 [1]味覚システムの統合的解析 ▼塩味受容システム関連遺伝子の探索:Skn-1 KOマウスの有郭乳頭上皮を用いたDNAマイクロアレイ解析の結果を野生型と比較することにより、味蕾細胞種特異的に発現する候補遺伝子を抽出した。塩味の受容を担う味細胞は甘・旨・苦味受容(typeII)や酸味受容(typeIII)の細胞と異なる、typeI細胞である。typeI細胞に特異的に発現する候補遺伝子のうち、膜貫通領域を持つものをタンパク質情報データベースUniProtおよび膜貫通部位予測プログラムSOSUIを用いて抽出し、ISHを行って味蕾での発現を調べ、Anol,Kcne3,Sec6lalのtypeI細胞特異的発現を確認した。 ▼複合味の伝達:T1r3-WGA,T2r5-WGA,Pkdl13-WGAマウスのGGおよびNPGにおけるWGA陽性細胞特異的な発現分子として、Eya1,Eya2,5HT3Bなどを見い出した。 [2]食刺激に伴って活性化する味覚認知地図の基盤確立. ▼味物質により活性化する味覚認知部位の解析:生後19日のマウスに3日間調味料(カプサイシン、サッカリンなど)を摂取させ、味覚シグナルに応答した大脳皮質味覚野・体性感覚野にSNAP25が蓄積することを見いだした。摂取した調味料ごとにSNAP25の大脳皮質分布が異なることから、調味料の味覚シグナルにより大脳皮質が長期的かつ可塑的に変化した。 ▼離乳食による味覚認知の解析:マウスの離乳前後において、中枢味覚・体性感覚野の大脳皮質を取り出してDNAマイクロアレイ解析を行った結果、arcやegr-2などの神経興奮マーカー遺伝子が離乳後に2倍以上発現上昇した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
塩味受容細胞の分子マーカーを取得した。また、SNAP25タンパク質を用いて食シグナルの大脳皮質における認識部位の特定に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
塩味受容シグナル分子の特定に向けて研究を進めると同時に、同じイオン性の酸味受容システムの解析も進める。また、離乳期の味覚認知の可塑性に関する研究を実施する。
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Research Products
(29 results)