2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23248058
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 啓子 東京大学, 農学生命科学研究科, 特任教授 (10151094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藍沢 広行 東京大学, 農学生命科学研究科, 特任准教授 (90221704)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 食品 / 味覚 / 脳・神経 / シグナル伝達 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
食品に含まれる味物質の情報は、味蕾、味神経を介して脳に伝達され、味が認識される。 [1]味覚システムの統合的解析①塩味受容システム関連遺伝子の探索:Skn-1 KOマウスの有郭乳頭上皮を用いたDNAマイクロアレイ解析の結果を野生型と比較することにより、味蕾細胞種特異的に発現する候補遺伝子を抽出した。塩味の受容を担う味細胞は甘・旨・苦味受容(typeII)や酸味受容(typeIII)の細胞と異なる、typeI細胞である。typeI細胞に特異的に発現する候補遺伝子のうち、膜貫通領域を持つものをタンパク質情報データベースUniProtおよび膜貫通部位予測プログラムSOSUIを用いて抽出し、ISHを行って味蕾での発現を調べ、Anol, Kcne3, Sec6lal のtypeI細胞特異的発現を確認した。②複合味の伝達:T1r3-WGA, T2r5-WGA, Pkdl13-WGAマウスのGGおよびNPGにおけるWGA陽性細胞特異的な発現分子として、Eya1, Eya2, 5HT3Bなどを見い出した。 [2]食刺激に伴って活性化する味覚認知地図の基盤確立 ①味物質により活性化する味覚認知部位の解析:生後19日のマウスに3日間調味料(カプサイシン、サッカリンなど)を摂取させ、味覚シグナルに応答した大脳皮質味覚野・体性感覚野にSNAP25が蓄積することを見いだした。摂取した調味料ごとにSNAP25の大脳皮質分布が異なることから、調味料の味覚シグナルにより大脳皮質が長期的かつ可塑的に変化した。②離乳食による味覚認知の解析:マウスの離乳前後において、中枢味覚・体性感覚野の大脳皮質を取り出してDNAマイクロアレイ解析を行った結果、arcやegr-2などの神経興奮マーカー遺伝子が離乳後に2倍以上発現上昇した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
最終年(H25)に実施予定の味覚と栄養状態の関連性に関する研究を実施し、以下の知見を得た。 ①マウス消化管(胃・小腸)では味覚関連遺伝子、Gustducin、PLCβ2、TRPM5が発現していることを観察した。Skn-1 KOマウスではbrush cell特異的に発現するTRPM5が完全に消失していた。また、brush cellのマーカー遺伝子群も発現が認められなかったことから、この細胞が消失していると考えられた。小腸のbrush cellはオピオイド分泌やプロスタノイド産生に関わる機能が報告されるが、その細胞の役割は不明である。 ②非エネルギー甘味料(サッカリン)を摂取したマウスにおいて、水摂取群に比べ、肝臓のエネルギー代謝が著しく亢進することを見出した。とくにコレステロール合成・異化、β酸化など脂質代謝系遺伝子発現が有意に上昇した。しかも、胃内投与の場合には、このような脂質代謝促進がみられないことから、サッカリンの甘味を受容した脳から末梢である肝臓への代謝関連性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
Skn-1 KOマウスの身体的特徴(体重、血中成分、呼吸商)などエネルギーの消費量を解析し、brush cellの機能との関連性を解明する。また、普通食摂取下における小腸、肝臓、白色脂肪組織、膵臓、脳のDNAマイクロアレイ解析を行う。野生(WT)マウスとの遺伝子発現の比較から、Skn-1 KOマウスにおける代謝パスウェイの差異を解析する。さらに、エネルギー負荷時のbrush cellの役割を明らかにするために、高糖質や高脂肪食などの高カロリー食摂取時の生理・生化学測定およびマイクロアレイ解析を行う。 また、Skn-1 KOマウスの小腸組織のmRNA seq法による遺伝子発現解析を行う。
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