2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオシドを搭載した細胞標的化機能性一本鎖核酸の創出
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23249008
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松田 彰 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (90157313)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 核酸創薬 / ヌクレアーゼ抵抗性 / 2'-OMe-4'-チオリポヌクレオシド / PSMA / アンチマイクロRNA / shRNA / ホスホロチオエート結合 / ホスホジエステル結合 |
Research Abstract |
miR-122は、70%が肝臓で発現しているmiRNAであり、肝臓におけるコレステロール代謝や、脂肪酸の合成や酸化などに関与している。従って、細胞内でのmiR-122の制御異常は代謝性疾患の原因になる。そこで、肝臓で過剰発現しているmiR-122を、そのアンチセンス鎖(AMO-122)で作用を抑制することを考えた。AMO-122は細胞内でmiR-122と完全相補的二本鎖を形成し、miR-122がmiRISC上で対応するmRNAとの結合を阻害し、作用発現を阻害する。そこで、ヌクレアーゼ抵抗性ユニット(2’-OMe-4’-S体; MS,および天然型2’-OMe体; M)を含むAMO-122を合成し、その効果を調べた。miR-122のルシフェラーゼレポータープラスミドを調製し、このプラスミドとAMO(23mer, 0.5-5 nM)を、miR-122を高発現しているHuh-7細胞にコトランスフェクションし、24時間後にレポーターアッセイを行い、AMOによるmiR-122機能抑制効果を調べた。その結果、AMO-MS122は濃度依存的なmiR-122の抑制効果を示し、AMO-M122よりも高い効果が得られた。また、リン酸部分が天然のPO型の場合は時間経過とともに活性が現弱したが、チオリン酸型(PS)の場合は活性増強がみられた。そこで、AMO-MSPS-122をリポソーム(YSK05-MEND)に搭載し、マウスを用いるin vivo実験を行った。1.0 mg/kgを2日おきに三回静脈内投与後、肝臓を回収しmiR-122の標的酵素であるAldoA, Bcldk, Ndrg3の発現を調べたところ、いずれの酵素の発現が上昇しmiR-122の効果が低下したことを見いだした。さらに、血中コレステロール量も低下した。また、毒性の指標である血清中のALT量は大きく変化しなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに、我々が開発した自然免疫系を活性化しないヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオシドである2’-OMe-4’-thioribonucleosideを含むルシフェラーゼ遺伝子に対するsiRNAを肝臓指向性リポソームに搭載しin vivo実験を終了した。今年度はmiR-122に対する一本鎖アンチセンス分子(AMO)を同様に肝臓指向性リポソームに搭載しin vivo実験を終了した。これらの実験から我々のヌクレアーゼ抵抗性核酸はリポソームに搭載すればin vivo実験が可能であり、十分な効果を示すことが分かった。従って、今後は予定通り一本鎖ヌクレアーゼ抵抗性核酸に組織標的化分子を結合させて、リポソームに内包せずにin vivoで効果をだせるかどうかがポイントになる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)siRNAは二本鎖RNAであり、これに組織標的化分子を結合させてin vivo実験を行うことは難しい。そこで、二本鎖RNAのアンチセンス鎖の5’末端とセンス鎖の3’末端をアルキルまたはPEGリンカーに結合させヘアピン型とし、そこから別のリンカーを延ばして組織標的化分子を結合させる。細胞内でこの組織標的化分子を含むヘアピン部分がDicerで加水分解を受けて除去されると二本鎖siRNAを生成する。この時、アンチセンス鎖の3’末端部分やセンス鎖の5’末端部分にヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオシドを導入するとともに、一部のリン酸ジエステル結合をPS結合に変換しヌクレアーゼ抵抗性を確保する。 2)receptor-mediatedな核酸医薬の細胞内取り込みはエンドサイトーシスを介して起きることが知られている。この際、組織表的化分子は1個よりも複数個結合している方が高効率的であることが知られている。また、siRNA部分も1分子よりも多分子の方が効率的に効果を発現出来るはずである。そこで、そのような仕組みを考える。
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