2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオシドを搭載した細胞標的化機能性一本鎖核酸の創出
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23249008
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松田 彰 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 特任教授 (90157313)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 核酸創薬 / ヌクレアーゼ抵抗性 / 2'-OMe-4'-チオリポヌクレオシド / PSMA / アンチマイクロRNA / shRNA / ホスホロチオエート結合 / ホスホジエステル結合 |
Research Abstract |
すでに臨床使用されている一本鎖核酸医薬は、薬物送達システム(DDS)を使用しなくとも局所投与や全身投与できると考えられており、その方向での開発が盛んに行われている。今回、肝臓で主に発現しているmicroRNA-122 (miR-122)のアンチセンス分子(AMO-122)をヌクレアーゼ抵抗性(2’-OMe体およびphosphorothioate: PS型に修飾)にし、肝臓指向性にしたpH感受性型リポソーム(YSK05-MEND)に搭載し、マウスを用いるin vivo実験を行った。その結果、1 mg/kgのAMO-122をYSK05-MENDに搭載しday 0, 2, 4に3回尾静脈注射したところ、miR-122が約70%ノックダウン(miR-122で抑制されていた肝臓中の遺伝子AldoA, Bckdk, Ndrg3の発現は1.7~2.8倍に増加し、血中コレステロール値も低下した)が観察され、その効果は2週間以上に亘って持続した。しかし、同量のAMO-122を細胞内導入試薬リポフェクタミン2000と混合して同じスケジュールと量で投与しても活性発現はまったく観察されなかった。従って、一本鎖核酸医薬をDDSに搭載して投与することで投与量を減少させることが可能になるとともに副作用の軽減にも繋がることが期待される。一方、DNA中のCpG配列のメチル化を行うDNMT1やDNMT3の阻害剤として、新規にピリジンC-ヌクレオシド(C*)pGを含むオリゴヌクレオチド(ODN)を見いだした。このODNは、SAMやSAH非存在下でも阻害活性を示した。従来、本酵素の阻害には、二種類の複合体形成が必要であると言われていたが、その構造的実体は不明であった。ゲル電気泳動で両複合体の移動度が明らかに異なりそれらが上記の2つの型を示している可能性があり興味深い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
siRNAやデコイ分子は何れも二本鎖核酸からなるが、それらをヘアピン型にすることで一本鎖化が可能である。デコイ分子の場合は細胞内でヘアピン部分が切除される必要はないが、siRNAではヘアピン部分がDicer上で切除されて二本鎖にならなければならない。しかし、両者とも細胞内外でヌクレアーゼ抵抗性を示す必要がある。当初、ヘアピン部分はDNA型のオリゴヌクレオチドを考えていたが、ヒト血清中での切断が速いことから、(PEG)nに変更した。しかし、このヘアピン部分にPEGを持つオリゴヌクレオチドは細胞膜透過性が悪いためか活性が低下した。現在、PEGの代わりにアルカンジオールに変更し、活性低下をかなり抑えられることを見いだしている。
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Strategy for Future Research Activity |
がん組織選択性を向上させることは、抗がん剤の投与量を上げられることからその活性向上に重要である。従来の抗がん剤は細胞増殖速度の違いだけを意識した設計であるために、副作用のために投与量を上げられず開発が成功しない場合が多い。核酸医薬の場合は、一本鎖核酸はDDSを用いなくとも全身投与可能になっているが、本研究の今年度の成果として一本鎖核酸でもDDSを用いれば投与量を減らすことができることを明らかにした。従って、ヌクレアーゼ抵抗性にした核酸医薬に組織選択性発現物質を結合した時に、リポソームやミセルなどのDDSと比べてどれだけ低投与量で効果発現が可能になるかが重要である。しかし、最近行われている似たような研究ではDDSに内包する方が低容量で活性を発現する例が多い。本研究では、前立腺がんのマーカーであるPMSAを標的化分子として設定し、これを結合したsiRNAをまず、in vitroでPMSA発現前立腺がん細胞と非発現細胞に添加してその効果を調べる。その活性の差が大きい(1000~10000倍)場合には、in vivo実験も行う。しかし、その差が小さい場合には、リポソームに標的化分子を結合するか、抗体に結合させるかなどの展開が必要になるかもしれない。
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[Presentation] バイオ創薬のススメ
Author(s)
松田 彰
Organizer
第32回白金シンポジウム-創薬研究の最前線-
Place of Presentation
北里大学薬学部コンベンションホール(東京都港区)
Invited
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