2012 Fiscal Year Annual Research Report
代表的肺難治性疾患の発症関連遺伝子解明と創薬への応用
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23249045
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長瀬 隆英 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (40208004)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 呼吸器内科 |
Research Abstract |
COPD、ARDS、特発性間質性肺炎、難治性気管支喘息、新興呼吸器感染症(新型インフルエンザ等)などは、炎症関連機序を主体とする病態であり、その難治性・致死性や高い発症頻度から、社会的にも極めて重大な疾患群である。これらの炎症性肺疾患の病態機序・治療標的は未だに不明であり、新治療法の開発が急務とされている。本研究では、近年、炎症・生体防御関連因子として注目されている(1)脂質性メディエ-タ-、発生への関与が着目されている(2)転写コアクチベーターTAZに着目し、(3) siRNAなどの新技術を応用・駆使することにより、難治性肺疾患の病態解明および治療標的の同定を目指す。<本年度の成果> (1)脂質性メディエ-タ-: 本研究では、本研究者らが独自に開発した遺伝子改変マウスを使用している。特に、LTC4/D4/E4などcysteinyl LTの受容体(CysLT1-R, CysLT2-R)は肺・気管支に豊富に存在し、気管支喘息を含めた呼吸器疾患発症への関与が示唆され、なかでもCysLT2-Rは大きく注目されているが、その機能は未だに解明されていない。本研究では、このCysLT2-Rを標的としたKOマウスを用いて、疾患モデルを作成しつつある。(2)転写コアクチベーターTAZ:転写コアクチベーターTAZの遺伝子改変マウスを作成し、呼吸器系における病態生理学的意義および呼吸器疾患発症への関与の可能性を探索しつつある。今後、胎生期の発生過程を追跡し、転写コアクチベーターTAZ 遺伝子の機能および制御機構を解析する。(3) siRNA:マウス肺胞上皮細胞及び線維芽細胞を用いた系で,標的分子の発現抑制システムの確立を目指している。現時点で,線維化にかかわるシグナル分子及びそのパスウェイとしてTGF-β,その受容体及びSMADファミリーを標的として、ベクターの構築を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、おおむね順調に進展している。 本研究の目的は、 (1)脂質性メディエ-タ-、 (2)転写コアクチベーターTAZに着目し、(3) siRNAなどの新技術を応用・駆使することにより、難治性肺疾患の病態解明および治療標的の同定を目指すものであるが、既に一定の成果を挙げており、論文誌上または国際学会にて発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題を当初の計画通りに遂行する。本研究の成果により、炎症抑制治療の標的を明確にした場合、有効な治療法・治療薬の開発および実用化は近いと思われる。本研究は、1)難治性疾患の病態解明、2)ゲノム創薬、を志向した独創的なものであり、発生工学的手法を用いたアプロ-チは、難治性炎症性疾患の病態解明および未知の遺伝子機能解析において新しい視点を提供し、炎症性肺疾患治療の展開に重要な寄与をなすものと考えられる。また発生工学的技術を用いた研究は、薬剤開発のプロセスを短縮し、実用化に大きく寄与することが予想される。さらに本研究成果は、バイオテクノロジー分野における新技術の創製および知的資産の形成に発展することが期待される。
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Research Products
(7 results)