2011 Fiscal Year Annual Research Report
太平洋島嶼部におけるマイノリティと主流社会の共存に関する人類学的研究
Project/Area Number |
23251021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
風間 計博 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (70323219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柄木田 康之 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (80204650)
安井 眞奈美 天理大学, 文学部, 教授 (40309513)
福井 栄二郎 島根大学, 法文学部, 准教授 (10533284)
丹羽 典生 国立民族学博物館, 研究戦略センター, 助教 (60510146)
飯高 伸五 高知県立大学, 文化学部, 講師 (10612567)
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Keywords | マイノリティ / 共存 / 排他性 / 移民 / エスニシティ / ジェンダー / 障害者 / 太平洋島嶼部 |
Research Abstract |
本研究は、太平洋島嶼部における多様なマイノリティと主流社会との共存関係を追究し、その特徴を明確化する。そのため、ポリネシア・メラネシア・ミクロネシアの広範な地域を分担して、それぞれの分担者が集中的な実地調査を行い、文献資料ならびに民族誌資料を蓄積して分析・考察する。初年度は、各地域の担当者が実地調査を行い、テーマに即した基礎的な一次資料を収集する。 1)移民マイノリティ:丹羽は、植民地期以前に遡り、フィジーにおける移民とフィジー人との関係の歴史的変遷を追った。風間はバナバ人の歴史経験に関する文献収集を行い、英国植民地行政との軋轢を具体的に示した。柄木田は、ヤップ離島出身者が自助的組織を形成すると同時に、伝統的なサウェイの土地に埋葬地を求める事例研究を行った。市川は、在パプアニューギニア華人系住民における出自の多様性を明示し、ニューギニア人との社会関係に関する資料を収集した。飯高は、南洋群島の沖縄系移民が同総会を組織し、「記憶の継承」プロジェクトを立ち上げた事象を追究した。2)宗教・身体的マイノリティ:石森はソロモン諸島のバハイ教信者に関する基本情報を収集した。倉田はサモアにおける2つの聴覚障害者施設を比較し、「サモア的」と表現しうる障害者ケアのあり方を示した。3)女性・高齢者:安井はベラウ(パラオ)女性会議に着目し、母系制の下での「女性のエンパワーメント」に関する課題を提起した。福井は、伝統的知識をもたないと言われる、バヌアツ・アネイチュム島の高齢者が携帯電話の普及により、新しい知識においても周辺化される事例研究を行った。 研究組織の成員は各自、実地調査で収集した資料を分析し、文献研究の成果を踏まえて考察を行った。研究代表者が開催する研究会(2012年2月11日・17日、於:筑波大学)で発表し、相互批評を行った上で、分析や理論的考察を深化させるように取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者・研究分担者は、研究初年度における問題系の発見に向けて、それぞれ海外フィールドワークを実施し、現地において一次資料を収集した。筑波大学において2回開催された研究会において、資料分析の成果を口頭発表し、議論を行う中で、各自の研究における問題点について理解を深めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者・研究分担者は、共同研究として本課題に関する各自の研究を、より一層統合させていく必要性がある。初年度は、研究課題に関わる方向性について相互理解が十分になされたとは言い切れない部分があった。そのため、平成24年度には、研究会開催の方法に工夫を加える。初年度は年度末のみに研究会を開催したが、フィールドワークに行く前や収集資料を持ち帰ってきた時点においても、研究会を開催する。開催時期を柔軟に設定することにより、研究代表者・研究分担者間の意思疎通を十全に図り、共同研究としての方向性を明確化させることができる。
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Research Products
(13 results)