2011 Fiscal Year Annual Research Report
中国の地方政府における環境ガバナンスと環境紛争解決機能の向上に関する研究
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23252002
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
北川 秀樹 龍谷大学, その他部局等, 教授 (60360252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 和弘 京都大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (20144397)
奥田 進一 拓殖大学, 政経学部, 准教授 (60365864)
櫻井 次郎 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (40362222)
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Keywords | 環境ガバナンス / 環境法政策 / 環境保護法廷 / 公益訴訟 / 環境行政 |
Research Abstract |
2012年1月に、研究代表者、研究分担者、連携研究者による研究打ち合わせ会議を開催し、年度内の研究計画、中国側研究協力者との研究の進め方等について意見交換し、相互に情報を共有した。 2月中旬に、研究代表者らは訪中し、中国側研究協力者と意見交換した。北京大学・汪勁教授からは、特に公益訴訟と環境保護法廷に関する現地調査、日中ワークショップの開催について助言を得た。呂忠梅院長からは、8月の北京での環境紛争解決に関するワークショップ開催の情報を得た。王樹義教授からは、水資源に関する権利の実態、法的性格等について紹介を受け、意見交換した。3月下旬に、研究代表者らは、行政機関における信訪の現状と紛争解決機能調査のため山東省を訪問した。山東省環境保護局では、行政機関における紛争処理、財政、公衆参加等の実態について紹介を受け、意見交換した。これらを通じ、環境紛争解決に係る司法、行政の取組の現状を初歩的に把握した。 研究分担者の櫻井次郎らは、1月に雲南省曲靖市において現地企業に対する六価クロム汚染訴訟の原告弁護士等と面談し、公益訴訟の実態を調査した。 研究代表者は9月に訪中し、西安市環境保護局幹部と座談会を開催し、信訪、情報公開、公衆参加等の実態を聴取の上、意見交換した。また、北京大学において公益訴訟に関するワークショップを開催、北京大学の王社坤講師、劉哲イ講師から、環境保護法廷と公益訴訟の現状と民事訴訟法上の課題について、また、中華環境保護連合会・馬勇部長から無錫、雲南、貴州における具体的な公益訴訟の事例について紹介を受けた。2013年2月、さらに議論を深めるため中国から汪教授、王講師、馬部長、国内から大阪大学・大久保規子教授、村松昭夫弁護士を招へいし、京都において日中環境公益訴訟ワークショップを開催、世界の現状から見た中国と日本の到達点と課題について意見交換した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究調査の重点としている環境政策の設計と運用、環境紛争と司法の役割についてはほぼ順調に研究活動を遂行できた。ただし、昨年9月の尖閣諸島国有化問題を契機に、行政部門へのインタビュー調査の受け入れが困難となったため、環境行政部門の法執行の現状や紛争解決機能に関する調査については進捗にやや遅れがある。
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Strategy for Future Research Activity |
環境保護法廷と公益訴訟については、現地に赴き裁判官、弁護士との意見交換を進めたい。また、環境行政部門等行政機関へのインタビューについては、研究者を通じて調整する。環境NGO、住民の公衆参加とその前提としての情報公開の現状について調査を進める。
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Research Products
(6 results)