2014 Fiscal Year Annual Research Report
アラスカの地殻隆起・重力変動観測による粘弾性構造解明と地球環境変動モニタリング
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23253003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三浦 哲 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70181849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 忠弘 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 客員研究者 (10000176)
太田 雄策 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50451513)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 地殻荷重変形 / GPS / 重力変化 / 粘弾性構造 / 後氷期隆起 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は研究代表者(三浦)が研究対象領域に出張し、連携研究者が所属するアラスカ大学の技術職員とともに本研究課題の先行研究課題によって設置されたGPS連続観測点の保守作業を行い、GPS受信機が正常に稼働していることを確認するとともに、データ回収を行った。また、これまでに蓄積されたGPSデータに基づいて、氷河性地殻均衡(Glacial Isostatic Adjustment, 以下GIAと略す)を考える上でマントルの圧縮性の効果について検討した論文を執筆した。この論文では、研究対象領域のGIAについて研究を進める際にマントルの圧縮性を考慮したモデルを構築し、本研究課題で実施されている観測結果を含む当該地域の上下変動速度を用いて、非圧縮性を仮定した場合との比較を初めて行った。その結果、非圧縮性を仮定したマックスウェル粘弾性体については、圧縮性を考慮した場合に比べて、平均的隆起速度の27%(約4 mm/年)を過小評価する可能性を示した。これは観測誤差を上回る量である。これら両モデルにおける相違については、たわみ剛性率を合わせ込むことによって10%程度まで減少させることができ、非圧縮性モデルに基づいた逆解析を行って粘弾性構造を推定する際には重要であるという結論を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題で実施している観測では順調にデータが継続的に蓄積されている。特にGPS観測データは、米国の国家プロジェクトとして実施されているPlate Boundary Observatory(プレート境界観測計画)で得られている観測データとほぼ同様の品質を維持しており、26年度に執筆された論文の中でも重要なデータとなった。これまで本研究課題における粘弾性構造の推定においては、重力の影響を加味した非圧縮性の球殻成層粘弾性地球モデルを用いてきたが、この論文では、新たにスペクトラル有限要素法を導入し、圧縮性も考慮可能にするなどデータ解析手法においても大きな進歩があった。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度は本研究課題の最後であり、絶対重力測定を実施する予定のほか、超伝導重力計によって蓄積されている重力連続観測データに基づいて地球潮汐周期帯における地域スケールモデルの応答についても研究を進める予定である。26年度はGPS観測による隆起速度データを用いて論文を執筆したが、最終年度である27年度は、これに重力連続観測データや絶対重力測定データを追加し、さらに精度の高い粘弾性構造の推定を行う予定である。
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Research Products
(3 results)