2012 Fiscal Year Annual Research Report
内陸地震の断層直下はやわらかいのか?-ニュージーランド南島北部における稠密観測-
Project/Area Number |
23253004
|
Section | 海外学術 |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
飯尾 能久 京都大学, 防災研究所, 教授 (50159547)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 知己 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30281968)
松本 聡 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40221593)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 内陸地震 / 水 / ニュージーランド / 断層 / 観測 |
Research Abstract |
2011年2月に発生したクライストチャーチ地震の余震観測をカンタベリー平野とその周辺の29カ所で行うとともに,2009年秋から行っているマーチソン盆地周辺の2カ所,および2012年3月に余震観測網より北側の南島北部の広い範囲に展開した19カ所の地震観測点の観測を継続した.南島北部をほぼカバーする大規模な地震観測網を稼働させることが出来た. データ解析においては,GEONETの定常観測点と併合処理し,予察的な結果ではあるが, 高精度の震源分布や3次元の速度構造を推定することが出来た. クライストチャーチ地震の震源域周辺においては,上部地殻内に,断層面を境にした速度不均質が存在することが推定された.これは,都市直下に埋没した活断層を推定する上で重要な知見となると考えられる.さらに,約半年間のデータを用いて,南島北部の広範囲の震源分布を決定することが出来た.当地域におけるGEONETの定常観測点の観測点間隔は100km程度であり,大きな地震しか震源が決まらなかったが,我々の観測網により,約10倍程度の震源を精度良く決定することが出来た.約半年間のデータでも沈み込む海洋プレートが明瞭に見えているし,1968年のInangahua地震(M7.4)の震源域で多数の地震が起こっていることが分かった.今後さらにデータの量と質を上げることにより,断層の深部構造を推定することが可能になると期待される. クライストチャーチ地震の余震が収まってきたので,2013年3月に,今年度2度目のメンテナンスと,余震観測網の南島北部への移設を行おうとしたが,観測点の土地の使用許可が間に合わず,2013年度へ繰り越しを行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
下記の2つの理由により、おおむね順調に伸展していると評価した。 ニュージーランド南島北部におけるGEONETの定常観測点の観測点間隔は100km程度,観測点数も6カ所であり,大きな地震しか震源を決めることができなかったが、本研究により2012年までに21カ所の観測点を設置して,短期間でも多数の震源を精度良く決定することが出来た.および、データ解析においても,予察的な結果ではあるが,クライストチャーチ地震の震源域周辺において,上部地殻内に断層面を境にした速度不均質が存在することや,1968年のInangahua地震(M7.4)の震源域で多数の地震が起こっていることを見出すなど、高精度の震源分布や3次元の速度構造を推定することが出来た.
|
Strategy for Future Research Activity |
クライストチャーチ地震の余震が収まってきたので,2013年には,余震観測網の南島北部への移設を行う。ただし、クライストチャーチ地震の余震域東部を中心に、まだ大きめの余震が起こる可能性を全く否定出来ないので、29点中10点程度の観測点を残すこととする。既設の観測点を継続するとともに、データ解析を進め、高精度の震源分布、トモグラフィー、メカニズム解の決定等を行う。
|