2012 Fiscal Year Annual Research Report
中国大興安嶺森林-湿原生態系における水・熱および炭素・物質動態と山火事撹乱の影響
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23255009
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 冬樹 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (20187230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 孝良 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (10270919)
野村 睦 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教 (20271629)
高木 健太郎 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (20322844)
笹 賀一郎 北海道大学, 名誉教授 (70125318)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 炭素動態 / 水・物質循環 / カラマツ林 / 二酸化炭素 / 地球温暖化 / 永久凍土 / 中国 / 国際共同研究 |
Research Abstract |
永久凍土南限域では、カラマツ林の存在が湿原・永久凍土の安定性と関連し、その維持管理がCO2の放出を含む地球温暖化と密接に関連している可能性がある。本研究は、中国大興安嶺地区における森林(カラマツ林)-湿原複合生態系を対象とし、1)炭素を中心とする水・物質動態の把握、2)湿原の安定性と温暖化への影響、3)北海道のカラマツ林との比較、4)湿原におけるカラマツ林の物質循環への影響評価等をおこなう。 調査地は、①東北林業大学老山演習林、②大興安嶺中心部・加格達寄付近、③大興安嶺東部の瓮河自然保護区周辺、④大興安嶺西部の根河周辺を候補地とし、南開大学・黒竜江省林業研究所の共同研究者と共同で昨年度に引き続き調査を進めている。本年度は③の瓮河自然保護区の大規模湿原(特別保護区)において、黒龍江省林業研究所の研究者と協力し、気象や土壌水等の湿原内部の観測を開始した。さらに、同研究所と協議して大興安嶺地区に隣接する小興安嶺地区においても同様の観測を開始することとした。小興安嶺地区の調査地は伊春市豊林自然保護区内に位置し、カラマツ林帯から北海道を含む針広混交林帯への移行帯にあたり、永久凍土分布域としてはより環境変化に敏感なエリアである。また、当調査地には量水堰と観測用鉄塔がすでに設置されており、器材を用意すればすぐに観測できるという利点もある。 また、中国で観測を担当する研究者を招へいし、北海道に設定したカラマツ林流域(北海道大学天塩・苫小牧研究林)において、日中共同研究者による炭素循環に関する観測器材やモニタリングの方法について意見交換会を開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主要観測地として考えていた中国永久凍土南限地域の湿原で炭素・水循環に関する観測を継続するとともに、より温暖化に鋭敏な小興安嶺地区で、しかも山火事の影響を受けていない森林を調査地に加えることができ、日中間の研究者でより強力な共同観測体制を構築することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
大興安嶺瓮河および小興安嶺豊林自然保護区の湿原では、中国の研究機関が湿原生態系に関する多様な調査をおこなっていることがわかった。これらの研究者と役割分担しながら観測を実施することで、より効果的な研究推進がはかられる。また、共同研究に関する協定を結ぶことで、現地研究機関(黒龍江省林業研究所)と調整しており、それにより観測がより順調に遂行されることが期待される。
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Research Products
(18 results)