2014 Fiscal Year Annual Research Report
養菌性キクイムシが媒介する樹木萎凋病の国際的なリスク評価に必要な基礎データの収集
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23255011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鎌田 直人 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (90303255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 秀章 独立行政法人森林総合研究所, 九州支所, 主任研究員 等 (10353682)
濱口 京子 独立行政法人森林総合研究所, 関西支所, 主任研究員 等 (60343795)
升屋 勇人 独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, 主任研究員 等 (70391183)
楠本 大 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 講師 (80540608)
平尾 聡秀 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 講師 (90598210)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 養菌性キクイムシ / 樹木萎凋病 / ナラ / カシ / Lithocarpus / ナラ枯れ |
Outline of Annual Research Achievements |
タイ国チェンマイにおいて2014年3月、6月9月、2015年1月に、インド国アッサム州、マニプール州において2016年2月に採集を行った。インドネシアでは、現地で前科研費で採集したナラ枯れの病原菌であるRqaffaelea quercivoraの接種実験をLithocarpusに対して行った。 タイでは、標高約1400mに位置するチェンマイ大学高地農場の森林内2地点と果樹園横の林縁部2地点に、12目(order)から選んだ各目1種の植物の太枝をベイトとして約8週間設置した。また、エタノールを誘引剤、プロピレングリコールを保存剤として用いたトラップを各地点に3基設置した。ベイト枝からは約60種、エタノールトラップでもほぼ同数のキクイムシ類が採集された。採集されたキクイムシ類は形態種にソーティングの後、元チェンマイ大学准教授のRoger Beaver博士に同定を依頼した。約8割の形態種が同定済みである。これらのサンプルからDNAを抽出し、系統解析を進行中である。 インドでは、ベイト調査を行うための予備調査として、現地のナラ・カシ林での採集を行った。現地では、燃料として ナラ・カシを生産しており、伐採後にばら積みにして乾燥している材から各種キクイムシを採集した。現時点では、ナラ枯れの媒介者であるカシノナガキクイムシは採集されていないが、極めて類似した食痕が見つかった。 インドネシアでは、ジョグジャカルタ近郊の民地で、Lithocarpusに対して、インドネシアから採集した11株のRaffaelea quercivoraを接種したが、壊死反応はきわめて小さく、このことが、インドネシアでナラ枯れの被害が発生しない原因の一つであると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タイでは、実験計画に基づいてベイト枝を設置してシステマティックな採集を行っており、計画通り採集できている。インドでは、強度にナラ・カシ類が薪炭林として利用されているため、期待よりも採集種数がすくなく、目的の一つであるカシノナガキクイムシも採集できていない。インドネシアでは、順調に接種実験が進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
タイでは、ブナ科6種、マメ科4種について同様にベイト枝を使った捕獲を行い、植物の系統とキクイムシとの系統の対応関係を明らかにする。 インドでは、訪問2か月前にナラ類の伐倒を、カウンターパートであるエリ蚕研究所のRajesh Kumar博士に依頼する。 インドネシアでは、接種する樹木の種数を増やして接種実験を継続する。
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[Journal Article] Comparison of Sapwood Discoloration in Fagaceae Trees After Inoculation with Isolates of Raffaelea quercivora, Cause of Mass Mortality of Japanese Oak Trees2015
Author(s)
Kusumoto Dai,Masuya Hayato, Hirao Toshihide, Goto Hideaki, Hamaguchi Keiko, Chou Wen- I, Suasa-ard Wiwat, Buranapanichpan Sawai, Uraichuen Sopon, Kern-asa Oraphan, Sanguansub Sunisa, Panmongkol Aumporn, Pham Quang Thu, Kahono Sih, Sudiana I. Made, Kamata Naoto
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Journal Title
Plant Disease
Volume: 99
Pages: 225-230
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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