2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23256001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 芳嗣 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (00173922)
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Keywords | 内蔵型リーシュマニア症 / L. donovani |
Research Abstract |
内蔵型リーシュマニア症(VL)による様々な病態機序の解明にはマウスモデルが有用であると考え、マウスを用いた本症の病態モデルの確立に取り組んでいる。これまでに海外共同研究者と協力し得られた世界各地のL.donovani分離株のマウスへの感染実験を行い、そのうちマウスに感染性を示したL. donovani (MHOM/NP/03/D10)についてBALBcA Rag2KOマウスを用いて継代馴化することにより感染性が上昇した。 本研究で作製されたVLマウスモデルが治療薬の評価に有用であるかを検討するために、既知の治療薬であるAmBisome®を用いた治療実験を行った。 L. donovani D10株をBALB/cAマウスに腹腔接種し、感染の成立を確認し(LDU(原虫数/有核細胞1,000個);脾臓392±17、肝臓755±114)および肝脾腫が顕著になった感染49日目よりAmBisome®腹腔投与(200 μg/head)による治療を30日間行った。治療が終了した後の脾臓、肝臓のH.E染色及び抗リーシュマニア原虫モノクローナル抗体を用いた免疫組織化学的解析、血液中の原虫遺伝子検索等の解析により、治療効果は明らかであった。本モデルは、これまでin vivoモデルが確立されていないことから困難とされていた新規VL治療薬のスクリーニングに有用であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バングラデシュの現地調査において新規ヒトリーシュマニア症の原虫株は樹立されなかったものの、バングラデシュでPKDLの発症機序について基盤となりえる多くの有用な所見が得られ、また媒介昆虫サシチョウバエの生態調査を行った。トルコでの現地調査では保虫宿主であるイヌのDNAおよび血清試料を収集し、解析を行っている。また、トルコにおいてサシチョウバエに対する薬剤試験を行い、現在結果解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 前年度の成果をもとに、本年度は以下の項目につき各地域の海外共同研究者と協力し旧大陸における内蔵型リーシュマニア症の実態調査、媒介昆虫および保虫宿主の調査を継続する。 (1)媒介昆虫の同定と遺伝子レベルでの比較解析。 (2)患者および保虫宿主より原虫分離および血清学的解析を行い伝播サイクルへの関与を推定する。 2.実験動物における病態形成機序を病理組織学的、免疫学的および免疫組織学的に解析する。
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Research Products
(10 results)