2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23256002
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
橋口 義久 高知大学, 名誉教授 (10037385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
是永 正敬 高知大学, 医療学系, 准教授 (00128274)
上里 博 琉球大学, 医学研究科, 教授 (10137721)
三森 龍之 熊本大学, 生命科学研究科, 教授 (00117384)
加藤 大智 北海道大学, 獣医学研究科, 准教授 (00346579)
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Keywords | 国際研究者交流 / エクアドル:ペルー:アルゼンチン:ベネズエラ / リーシュマニア症 / 伝播疫学 / 病態生理 / サシチョウバエ / リーシュマニア原虫 / FTAカード |
Research Abstract |
研究目的:中南米型リーシュマニア症(「リ症」)の分子伝播・疫学及び病態生理を解明し本症の医学・生物学の解明と予防対策に役立てる。研究実施計画:平成23年度は主にエクアドル、ペルー及びアルゼンチンの患者・媒介サシチョウバエ及び保虫動物について分子疫学・生物学的手法を用いて調査研究を実施した。また、ベネズエラの「リ症」患者検体をFTA採材し遺伝子解析を試みた。研究成果の主な内容:1,エクアドル及びペルーでの研究では各地由来のFTA検体を解析し、病型と原虫種の関係を検討した。2.エクアドル産サシチョウバエのrRNA ITS1及びITS2 sequenceを決定し、「リ症」伝播との関係を考察した。また、ペルーアンデス地域産のものについてもGenotypingを試み、興味ある知見を得た。3.一連の研究成果に基づき「リ症」媒介者研究のための分子疫学的手法を提唱した。4.ペルーアンデス地域のサシチョウバエにLeishmaniaとTrypanosomaの寄生を認め、将来の自然感染率決定時の注意を喚起した。5.ベネズエラ国西部Lara州の皮膚「リ症」患者から分離したFTA検体を遺伝子解析。病原原虫はL.mexicana complexである可能性を指摘した。同時に、L.venezuelensisの存在に疑問を呈した。6.アルゼンチン北西部Salta県周辺の感染拡大が懸念されている内臓型「リ症」の病原虫はL.infantumであることを遺伝子解析で明らかにした。また、Salta県周辺の患者や媒介者の検索を試み、採取検体を遺伝子解析中である。研究の意義及び重要性:上記の研究成果は中南米型「リ症」の医学生物学の理解と解明に貢献すると同時に、本症の対策やサーベイランス上も重要な新知見であり、いずれの成果もその意義は大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は2011年9月末に追加採択されたものである。そのため当初の交付申請書に記載した「研究目的」を全て達成することは困難であった。また、追加採択通知から短期間内での研究分担者の現地派遣はかなりの困難も伴ったが、エクアドル及びアルゼンチンの流行国では予想以上の成果をあげることができた。ただし、ペルーの流行地周辺では大雨による被害のため、渡航・調査を中止せざるを得なかった。しかし、幸い、現地共同研究者の協力により、患者検体や媒介サシチョウバエ標本の確保が可能となり、今後の解析でも一定の成果が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は追加採択通知(20112年9月末)後の短期間内に海外学術調査研究を実施せざるを得なかった。このため、相手国共同・協力研究者との連絡や協力体制が必ずしも十分とはいえない。今後の研究推進に当たっては、相手国との事前の調整を十二分に行う必要がある。また、追加内定通知後の11月~翌4月は南米地域では雨期にあたる。今回の調査では、この時期における中南米流行地での調査計画は慎重に立案すべきであることを悟らされた。
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Research Products
(16 results)