2012 Fiscal Year Annual Research Report
小児肝がん研究グループによるアジア地域の小児肝がん調査と国際共同研究基盤整備
Project/Area Number |
23256006
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
檜山 英三 広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 教授 (00218744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菱木 知郎 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00375776)
小倉 薫 広島大学, 病院, 講師 (10346653)
渡邉 健一郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20324634)
大植 孝治 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50314315)
井田 孔明 帝京大学, 医学部, 教授 (60313128)
田尻 達郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80304806)
上松瀬 新 広島大学, 病院, 病院助教 (90569881)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 癌 / 薬剤反応性 / ゲノム / トランスレーショナルリサーチ / 医療・福祉 |
Research Abstract |
国際データベースとして1605例のデータを日本、欧州、北米の6つの過去の臨床試験症例から集積し、共通の病理、病期、臨床データ予後項目、晩期障害など共通項目、共通分類で作成した小児肝腫瘍国際コンソーシアム(CHIC)のデータベースとしてを完成させた。引き続き、診断時の項目について解析を開始し、数度のテレカンファレンスとともに、米国、欧州にて計4回の会議を施行して、これらのデータ解析を行った。その結果として、単因子解析では年齢、PRETEXT病期分類、血清アルファフェトプロテイン値(AFP値)に加えて、リスク因子として肝血管(門脈、肝静脈)浸潤、肝外進展、腫瘍破裂、多発性が有意に予後に関与することがあきらかになった。そこで、これらの因子にて多変量解析を行ったところ、AFP値が極めて低値(< 100 ng/ml以下)の症例は絶対的に予後不良であり、その他は年齢(3歳以上)とPRETEXT分類、AFP値と付加予後因子(肝血管(門脈、肝静脈)浸潤、肝外進展、腫瘍破裂、多発性)のあるなしの4項目のいずれかがあるなしにて、低リスク、中間リスク、高リスク群3群に振分けすることとした。これらを基に今後の肝芽腫のリスク分類を作成することとした。しかし、治療内容の解析ができていないことから、リスク別の検討部会を立ち上げて、今後の各リスク群で、国際共同で行うべき臨床試験の枠組みの検討を開始した。 一方、アジアの症例では肝芽腫の症例の調査を行い、インドネシアでのアジア小児がんミーティングでその収集を開始した。 肝芽腫の発症要因の検索目的で、本邦の肝芽腫102例SNPアレイ解析を終了し、その要因となる部位の検索を行うと共に、米国の同様の解析データを収集し、人種間格差や発症年齢での格差についても検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本邦と欧州・北米のデータを集積し、世界に類のない1600例あまりのデータベースが構築され、これらから、新たな知見として、肝芽腫のリスク分類がなされたことは極めて有意義であり、各因子を用語も含めて国際的に統一したデータベースとして解析が一部であるが進められていることは本研究の目的達成の向けての大きな前進と評価される。このデータベースを現在、WEBに公開して、世界中からアクセス可能な状況としており、多くの研究者にとって有用なデータベースとなっている。 あわせてアジア地域のデータを収集して、肝細胞癌も含めて、小児肝がんの発生、進展のさらに有用な国際的なデータベースとして、人種間格差や地域差なども検討可能とすべく、アジア地区からのデータ入力を開始した。まだ、十分に調査収集できているとは言えないが、今後の登録とデータ収集はさらにデータベースのグローバル化に寄与すると考えている。以上から、予定どおりのデータ収集はすすんでおり、これらのデータベースとともに国際共同のリスク別委員会が立ち上がり、これらによって今後の国際共同臨床試験の枠組みについての検討が開始されたことは意義深いと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
疾患の登録システムの共通化作業として、コンセンサスが得られたPRETEXT分類をベースとした統一病期分類参加する欧米、アジア諸国に周知する。そのために必要な検査のガイドラインを策定し、また、画像診断、病理診断はWebで送付して中央画像診断や中央病理診断を開始し、世界に症例の正しいリスク分類がフィードバックできる体制を構築して症例のデータベースを作成する。そのために、病理や画像診断結果と、血清診断項目やその他の補助項目から標準リスク群、中間リスク群、高リスク群を判別する共通のリスク分類基準を運用し、これに基づいてデータを登録するシステムを開始する。 既に構築した1600例のデータベースでは、治療内容や治療への反応性、さらに外科治療の有効性、構築した治療効果、副作用、晩期合併症(心・腎機能障害、聴力障害、成長障害、妊孕性障害、二次がん)を解析した上で次期の国際共同臨床試験に向けて、標準リスク群、中間リスク群、高リスク群に対する新たな臨床試験の運用を目指し、プロトコール作成を開始する。この際、世界が求めているエビデンスを充分検討し、それを得るための症例数、方法、治験の期間など、協議を充分行い、国際共同臨床試験の開始を目指す。また、作成したプロトコールは、日本小児血液がん学会やSIOPEL,COGの臨床研究委員会に提出し、さらに新規薬剤、特に分子標的薬の導入に関しては、成人例の有効性や安全性、小児の第一相試験のデータ解析を検討しう基盤整備を行い、この基盤を、世界が一つになって小児肝がんの治療成績を向上させる基盤とする。 一方で、多型解析を中心としてJPLT, SIOPEL,COGで運用を開始した国際バンクを、世界のその他の地域でも参加可能とし、バンキングを行うとともに、肝芽腫の成因、リスク分類、治療に関して有用な基礎研究を支援する国際共同バンキングの運用を行う。
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Research Products
(57 results)