2011 Fiscal Year Annual Research Report
時間基盤情報の蓄積と提供の試み-新たな時空間解析環境の構築
Project/Area Number |
23300097
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
関野 樹 総合地球環境学研究所, 研究推進戦略センター, 准教授 (70353448)
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Keywords | 時系列 / 地理情報システム / データベース / 可視化 / 年表 |
Research Abstract |
ユースケースの策定・共通の時間表記:時間基盤情報を利用するユースケースを想定し、それに基づいて時間の表現するためのデータ構造について検討を進めた。特に、あいまいな時間の取り扱いは重点的た検討され、その表現方法だけでなく、解析方法(あいまいな時間同士の演算など)について論理的な裏付けや実装が重要であることが確認された。 資料収集と仮入力:各国の歴史教科書や基本資料から年号などの時間表現を伴う記事(出来事、人物の生没年、政権や王朝の存在期間など)を抜き出し、仮入力を進めた。23年度中に、日本の教科書(高校日本史B、高校世界史B)からそれぞれ2514件と3039件、タイの基本資料(タイ-日本関係史年表)から270件、ラオスの教科書から476件の情報を収集した。また、その他の基本情報として、図書館などで利用される件名標目表(NDLSH、BSH、LCSH)を使った作業を進めており、NDLSHから470件の情報を抽出した。 データ構造の設計・APIの設計:データ構造やAPI設計を行い、その結果を暦変換や時間に関する演算などの時間情報の解析に必要な機能を含む時間情報モジュールとして実装した。暦変換の基本的な機能が概ね完成し、グレゴリオ暦、ユリウス暦、和暦などの各暦法とユリウス通日を相互に変換する機能やそれぞれ暦法に基づいた日付の演算(例えば「1か月後」などは暦法によって計算が異なる)の実装を終えている。機能の一部は表計算ソフト(MS-Excel)のアドインとして試験的に関係者へ公開を開始した。 成果の公開:本研究の内容や本年度の成果を国際学会(PNC 2011)や国内の研究会等で発表した。また、研究成果を発信するためのWebサイトの立ち上げを開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時間情報の表現の検討などは、新たな課題が見つかったことなどから23年度中に作業を終えることができなかった。一方で、資料収集が当初の想定以上に進み、Webサイトの構築も前倒しで開始するなど、全体としてはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
構築した基盤情報の公開は、当初想定したGISのクリアリングハウスのような仕組みが中心となる予定であるが、Webブラウザや表計算ソフトなどのプラグイン、TEI(Text Encoding Initiative)との連携といった研究現場で利用されるツールに密着した形やRESTなどを利用した提供も視野に入れた展開が必要であることがユースケースの策定などから示された。 また、国外への情報発信の重要性が再認識され、既存のデータやツール等も含めた対応が必要である。
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