2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規神経回路操作技術による大脳皮質―基底核ネットワーク制御機構の解明
Project/Area Number |
23300119
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
小林 和人 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90211903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 憲太 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (70315662)
深堀 良二 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (40457784)
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Keywords | 視床線条体路 / 皮質線条体路 / 道具的学習 / 運動制御 / 行動柔軟性 / 高頻度逆行性遺伝子導入ベクター / 細胞標的法 / 光遺伝学 |
Research Abstract |
大脳皮質と基底核を連関する神経回路は、学習と行動の発現制御に必須の役割を持ち、この回路の活動異常は多くの神経・精神疾患の病態と深く関係する。本研究では、我々の研究グループで開発した独自の遺伝子改変技術を応用して、学習の獲得・実行・変換に関与する神経機構の仕組みの解明に取り組む。高頻度逆行性遺伝子導入ベクターを利用し、細胞標的法と組み合わせることによって、経路選択的な機能遮断を誘導し、学習行動と電気生理応答への変化について解析するとともに、光遺伝学を組み合わせることによって、特定の入力経路の活動の記録や活動変化を誘導し、その下流の神経回路への影響を解析する。本年度は、視床束傍核から線条体へ入力する神経路の行動生理学的な役割を同定するために、ヒトIL-2Rα遺伝子をコードする高頻度逆行性遺伝子導入(HiRet)ベクターをマウス線条体に注入し、入力経路にIL-2Rαの発現を誘導した後、視床束傍1核に組換え体イムノトキシンを投与することによって、視床線条体路の選択的な除去を誘導した。この経路選択的な欠損マウスは、視覚に依存する弁別学習の獲得と実行に障害を示したが、シンプルなレバー押し反応や動機づけに関係する比率累進課題は正常であった。また、これらのマウスの自発運動、薬物誘導運動、運動学習も正常であった。これらの結果から、視床線条体路は刺激-反応の連合に関係する道具的学習に重要な役割を持つことが明らかとなった。次に、皮質線条体路の行動生理学的役割のを明らかにするために、運動野(M1/M2)や体性感覚野(S1/S2)から背外側線条体へ投射する経路の除去のための実験系を確立した。ヒトIL-2Rα遺伝子をコードするHiRetベクターをマウス線条体に注入し、運動野と体性感覚野の全域あるいは局所領域に組換え体イムノトキシンを投与することによって、皮質線条体路を選択的に除去した。また、HiRetベクターを背内側線条体に注入した後、前頭前皮質にイムノトキシンを投与し、前頭前皮質に白来する皮質線条体路を選択的に除去した。今後、これらの動物について、種々の行動課題を用いて評価を行ない、それぞれの経路の持つ行動生理学的な役割を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
視床線条体路の弁別学習における必須の役割を明らかにし、学術論文に掲載された。皮質線条体路の役割に関する研究も、選択的な経路除去のための条件設定を行い、今後の行動解析のための基盤が整備された。
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Strategy for Future Research Activity |
視床線条体路の役割については、弁別学習のプロセスについて検討し、特に、pavlovian instrumental transfer (PIT)への関わりを解析する。また、学習課題中の神経活動の記録と光遺伝学による活動の制御の研究に取り組む。また、皮質線条体路については、これまで準備した動物を利用して、種々の行動課題における経路の役割の解明に取り組む。
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